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'08年のセレクトセール、“盛況御礼”の裏に涙あり。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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posted2008/08/07 00:00

 数ある競走馬のセリの中で、いまや質量ともに突出した存在に成長した「セレクトセール」(日本競走馬協会主催)。今年は、洞爺湖サミットの日程を考慮し、例年の第1月曜日ではなく第2月曜日に開催。北海道苫小牧市のノーザンホースパーク特設会場において、3日間にわたり活発な取り引きが行なわれた。

 今年前半のセリが、経済情勢の悪化の影響をまともに被って散々な結果だっただけに、セレクトセールがその流れを断ち切れるかどうかが注目されたが、終わってみれば素晴らしい成果。465頭の上場で327頭が売却されて、売り上げ総額は101億7093万円。平均価格の3110万円余、売却率の70.3%はともに前年比微減ではあったが、このご時勢を考えれば上々の数字と評価すべきではないか。世の中、金はあるところにはあるのだ。

 海外からの視線も例年になく熱かった。オーストラリアから初めてやってきたバイヤーがいきなり積極的に参戦して、話題を独占したディープインパクトの初産駒や、いまが旬のアグネスタキオン産駒といった高額馬をセリ落とした。また、ウオッカの全妹という超良血の当歳馬が、日本では馬主資格がまだ取得できていないダーレー・ジャパン株式会社の手に渡って行ったのも意外といえば意外な結果。海外で走らせるつもりなのか、あるいは数年後の繁殖牝馬としての付加価値に対して1億500万円の対価を払ったものなのか、早くも様々な憶測を呼んでいる。こういう話も、未来を先読みして人間が動く、競走馬市場の楽しみのひとつと思えばいい。

 ただし、表面上の数字だけで今年のセレクトセールを成功と断定するのは浅い。社台グループ(社台ファーム、ノーザンファームほか)の馬たちと、日高地方の中小の生産者の馬たちに、今年ほど「格差」が生じたこともなかったからだ。社台が201頭の上場で191頭の売却。対して日高は、254頭の上場で126頭の売却でしかなかったのだ。率にして、95.0%対49.6%。馬のデキにそこまでの差があるようには思えなかっただけに、日高の生産者たちの落胆の姿は痛々しかった。ブランド力なのか、根回しの力の差なのか、敗者はしっかりと検証して、次の糧としなければならないだろう。

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