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威厳をもった審判で、合理的かつ正当な裁決を。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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posted2008/09/04 00:00

 JRAの裁決基準が、より過激な方向へと変わってきている。発端は言うまでもなくオークスの曖昧裁定。着順を変更するほどの斜行ではないとしておきながら、あとで騎手だけに騎乗停止処分を科したことが、ファンやメディアからの大ブーイングを浴びた件だ。

 さらに函館初日の安藤勝己騎手の斜行(6月21日の第4レース。外から迫って来た馬を弾き飛ばしたように見えた)を過怠金のみの制裁で済ませた裁定も、主に関係者の間で不満の声となって渦を巻いた。あれがセーフなら、アウトはどんなケースだ? という声。私も同じことを感じた。こうした流れに首脳部が反応して、裁決委員にプレッシャーをかけたのではないかという推測もできる。というのも、そのあとは空気がかわったかのように、降着プラス騎乗停止という厳しい処分内容となるケースが一気に増えだしたからだ。

 角田、田中克、秋山、和田、武士沢、千葉、五十嵐冬、武豊、内田博、宮崎、藤岡康、中村、安藤光、藤岡佑、川田、西谷、上野、二本柳と、かつてないペースで「休業」を言い渡される騎手が量産されている。

 2歳の新馬戦で、騎乗馬が幼さを出してしまったことで責任を取らされた武豊騎手が、「厳しくするのはかまわない。ただ、基準を一定にしてほしい」と、自身のホームページで書いたことも効いているのか、裁決委員はその通り、一定の厳しさを持って業務を執行しているようだ。

 筆者も基準さえ一定にしてくれるのなら、この傾向を決して悪いとは思わない。しっかりとした覚悟を持って、今後も姿勢を貫いたなら、「あれがセーフで、どうしてこれがアウト?」などとも言われなくなるだろう。審判業務は、なによりも威厳を維持することだ。

 ただ、着順の変更については速やかに判定しなければいけない(馬券の確定や、賞金の配分のために必要)としても、騎手に対する制裁は後日に慎重に時間をかけて行なうのが適当なのではないかと思えてきた。週明けに関係者から事情聴取を行ない、水曜までに騎乗停止の有無や期間を決めれば、競馬の円滑な施行にはなんら問題が生じない。実は、あのオークスの時間差裁定は、最も合理的なやり方だったのかもしれないではないか。

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