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井出はホンモノ!選手の成長を見る至福。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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photograph byYasushi Onishi

posted2005/08/18 00:00

井出はホンモノ!選手の成長を見る至福。<Number Web> photograph by Yasushi Onishi

 7月最終週に山口県MINEサーキットで開催された全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦が終わり、優勝記者会見を待つわたしを見つけると、インパルの星野一義監督が歩み寄ってきて腕をつつき、「どうよ、井出(有治)がこんなに強くなると思った?」と言った。

 井出が昨年星野率いるインパルと契約するとき、わたしは井出がわたしのレーシングカートのコーチでもあり、フォーミュラ・ドリーム時代も眺めて応援してきた若手であるから、不安もあるけれどよろしく頼む旨、お願いをしていたのだった。星野はそれを憶えていたのだ。多くのドライバーが脱水症状を起こして苦しむ中、堂々たるレースを展開して勝ったのは、まさにその井出だった。

 井出はこれでポイントを28点に増やし、今回3位に入賞し36点でランキング首位の本山哲に8ポイント差に迫った。残りは3戦、シリーズチャンピオンが見え始めたと言ってもいいだろう。

 今季の全日本選手権フォーミュラ・ニッポンでは近来の激戦に輪をかけて激しい格闘が繰り広げられている。なにしろ第4戦の富士スピードウェイではなんと参加15台全車が予選で1秒以内に並ぶという大接戦となった。ここへきて車両の性能差が縮まり、まさにドライバーズレースとしての様相を強めてきたのだ。今回のレースの予選でも、ポールポジションを取ったブノワ・トレルイエから1秒以内に13台が食い込み、何かあれば一瞬ですぐに順位が変わるという状況だった。

 そしてレースは行われた。様々な要因はあったものの、終始自分のペースを維持し、苦しいはずなのに相手を寄せ付けない強さを見せつけて優勝を果たしたのは井出だった。レース強さに定評のあったあの星野が「こんなに強くなるとは思わなかっただろう」とわたしに自慢するのだ。井出の速さと強さは本物だとお墨付きをもらったようなものだ。

 ちなみに、来年はF・ニッポンでは車体とエンジンの両方をこれまでと違ったものに置き換え、模様替えをはかることになる。その詳細は現時点ではまだ明らかにされてはいないが、本誌が店頭に並ぶ頃にはある程度の形が発表されていることと思う。これにより、シリーズがさらに活性化することを望みつつ、井出の王座獲りの行方を眺めることにする。

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