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この才能ある若者をどう育てるべきなのか。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2005/07/21 00:00

 塚越広大という若者が注目を集めている。彼は今年18歳。高校を卒業したばかりで、今シーズンは若手育成を目的に開催されているフォーミュラドリームに参戦している。その成績がすさまじい。7月3日に鈴鹿サーキットで開催されたシリーズ第5戦まで開幕以来5連続ポールトゥウインを飾っているばかりか全セッションで最速タイムを記録しているのだ。実は彼は昨シーズン後半戦からFドリームに参戦しており、デビュー戦こそ3位に終わったが残り3戦で優勝しているので、通算すれば8連勝中ということになる。

 今年の5戦を見る限り、必ずしも彼はスタートからフィニッシュまで首位を走り続けてレースを終えているわけではない。第3戦、第5戦では自分のミスから一旦はライバルの伊沢拓也に首位を奪われている。しかし、そこから猛然と追い上げて順位を入れ替え優勝をもぎとった。その圧倒的な速さはデータロガーのデータをチェックするアドバイザーたちも首を傾げるほどに飛び抜けているが、それに加えて窮地に追い込まれてもそれを挽回する強さを併せ持っている。驚くべき18歳、期待すべき才能である。

 問題はこの後、彼の才能をどうやって育てるか、だ。確かにFドリームはここまで優秀な選手を輩出してきた。しかし、Fドリーム以降の才能育成に関しては、敢えて言うならば単なる結果オーライがいくつか起きているだけで、上位カテゴリーへ送り出した後、才能をうまく伸ばすルートが確立されているとは言い難い。

 Fドリームの上位カテゴリーすなわちF3は、現代ではきわめてレベルが高くなり、いくらFドリームで開花した才能とはいえ、そのまま通用はしない。やはりそれなりの練習は必要なのだ。しかし、Fドリーム出身者にF3練習の機会は、実情として十分には与えられていない。近年、F3のコストが異常に上昇し、その気はあってもおいそれと練習を重ねさせることができないからだ。

 いかに塚越といえども、これまで同様のぶっつけ本番状態でF3へ放流してしまえば、戸惑い苦労するのは目に見えている。塚越の才能が今後どこまで伸びるのか楽しみにしつつ、育成プログラムがその才能をどう扱っていくのか、見守りたいと思う。

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