SCORE CARDBACK NUMBER

未来の大横綱・白鵬よ、満場一致の昇進を掴め。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

PROFILE

posted2006/08/17 00:00

 名古屋場所千秋楽、既に14連勝で優勝を決めていた横綱朝青龍と、綱とりに挑んだ大関白鵬とのモンゴル出身同士の結びの一番。この勝負を多くの相撲ファンが固唾を呑んで見守った。

 立った瞬間に素早く左上手を引いた朝青龍が、タイミングを計っての上手投げ。これを下半身の柔らかさと肩幅の広さで凌いだ白鵬が徐々に体勢を立て直し、両者右四つがっぷりの形に。白鵬の寄り身に対し、朝青龍が吊り身で対抗する手に汗握る展開。体力勝負では分が悪いと見た朝青龍が左の巻きかえにきた瞬間、白鵬が定石通り両まわしを引きつけて一気に寄り立てる。最後は白鵬が全体重を預け、折り重なるように朝青龍をねじ伏せた。両者の攻防が詰まった46秒の力相撲。2人の間に歴然たる力の差は、最早感じられなかった。最終的には星の差1つ。朝青龍14勝1敗の優勝、白鵬13勝2敗の準優勝で名古屋場所は幕を閉じた。

 新横綱誕生を確信した会場は、お祝いの座布団が乱れ飛ぶ祝賀ムード一色。しかし、吉報は届かなかった。今場所の白鵬に課せられた横綱昇進の条件は、13勝以上での連続優勝もしくはそれに準ずる成績。白鵬の成績は一見この条件をクリアしているように見えたが、審判部の見解はアウト。優勝に準ずる成績とは、単なる準優勝ではなく、最後まで優勝争いを演じての準優勝でなければならなかったのである。初日に敗れ、9日目に2敗目を喫した白鵬は、一度も優勝争いに加わることもなく、14日目終了時点で全勝の朝青龍と星の差2つ。朝青龍が全勝街道をひた走った悲運も重なり、千秋楽の直接対決の前に独走優勝を決められてしまった。最後に帳尻を合わせた格好の成績では、誰もがもろ手を挙げて昇進を認めるような評価は得られなかった。

 ならば14日目に直接対決させればよかったという意見もあろうが、千秋楽結びの一番に最高位の力士同士が対戦するのは大相撲の大原則であり、そこまでの配慮は過保護というもの。白鵬が千秋楽の朝青龍戦を優勝に絡む大一番に持ち込めなかった瞬間、今場所の綱とりは泡と消えたと言えるだろう。

 この見送りを、白鵬に落胆するなというのは酷かもしれないが、満場一致こそ未来の大横綱にふさわしい昇進の形である。更なる精進を期待してやまない。

ページトップ