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九州場所は明も暗も記録尽くめ。
~大記録樹立の白鵬と魁皇~ 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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photograph byKYODO

posted2009/12/15 06:00

九州場所は明も暗も記録尽くめ。~大記録樹立の白鵬と魁皇~<Number Web> photograph by KYODO

朝青龍に吊り出される、10日目の千代大海。初場所で10勝以上すれば再昇進もあるが……

 明暗それぞれ。今年の九州場所は、記録尽くめの場所だった。

 まずは3日目。史上最多の幕内在位98場所を更新中の大関魁皇が、史上3人目となる幕内通算800勝を達成した。37歳、持病の腰痛をはじめ満身創痍の身体はぼろぼろ。場所前にはすり減った関節の潤滑油としてヒアルロン酸を肩や膝に注射する。身体のケアを最優先し、土俵に立ち続ける魁皇。800勝目は、把瑠都に必殺技の小手投げを見舞い、怪力を豪快に披露した。地元福岡の会場は大興奮。花道の奥に戻るまで続いた「かいおう!」の声援は、生涯記憶に残るに違いない。その後、魁皇は白星の数を史上単独2位の806まで上積み。史上1位、千代の富士の807勝を完全に射程圏に捉えた。

崖っぷちから転落した千代大海と、這い上がった森麗。

 10日目、史上ワースト記録の14度目のカド番で今場所を迎えた千代大海が、平成11年春場所から守り続けた大関の座からついに陥落した。大関在位は史上1位の65場所。場所前から「負け越しても辞めない」と弱気な発言が見られたが、全盛期のケンカ相撲はやはり不発に終わった。「悔いはない」と言い切り翌日から休場。来場所に進退を懸けるようだが、大関復帰の可能性は限りなく0に近い。

 13日目、番付に初めて四股名が載った6年前の名古屋場所から38場所連続負け越しの、史上1位のワースト記録を更新中だった森麗が、ついに勝ち越した。場所前、競走馬ハルウララにちなんで本名の森川から改名した途端に記録ストップ。苦節7年目で初の給金直しの味は格別だったに違いない。

年間86勝の大金字塔を打ち立てた白鵬は“進化し続ける横綱”。

 締めの記録達成は14日目。5日目にして早々に3年連続の年間最多勝を決めた白鵬が、朝青龍のもつ年間最多勝記録を更新する年間85勝の大記録を樹立し、尊敬する双葉山に並ぶ12度目の優勝を決めた。朝青龍が6場所皆勤した1年での、価値ある偉業達成。その安定感は群を抜き、改めて政権交代を知らしめた。1年間に3回も優勝決定戦で敗れるという屈辱を乗り越え、悩み抜いた立合いを大関に上がる前の型(左足から踏み込み、まずは左前廻しを取る)に戻しての完勝劇は、「進化し続ける白鵬」を強烈に印象づけた。千秋楽も朝青龍に完勝した白鵬は記録をさらに上積み、年間86勝の大金字塔を打ち立てた。白鵬、恐るべし。

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