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驚異的な変貌遂げた把瑠都は
横綱に勝てるか。
~大関昇進がかかる九州場所~ 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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photograph byJMPA

posted2009/11/12 06:00

驚異的な変貌遂げた把瑠都は横綱に勝てるか。~大関昇進がかかる九州場所~<Number Web> photograph by JMPA

秋場所千秋楽、稀勢の里を上手投げで破った把瑠都。12勝で4度目の敢闘賞を受けている

 把瑠都の相撲が急激に良い方向に変貌しつつある。角界のディカプリオの異名を持つ把瑠都が初土俵を踏んだのは、5年前の夏場所だ。その巨体(197cm、184kg)と怪力を活かした豪快な取り口は、相撲の常道を覆す規格外のものだった。普通では全く届かない体勢からでもまわしを取れる長いリーチと懐の深さ。柔道で養った攻撃的な姿勢と抜群のバランス感覚。把瑠都はいとも簡単に100kgを越える力士たちをクレーンのごとく吊り上げ、子供を振り回すかのように豪快に投げ飛ばした。

上位陣との対戦で気づいた基本の大切さ。

 出世はとんとん拍子で、新十両昇進は所要8場所。しかし、ここで思わぬアクシデントが発生する。急性虫垂炎で幕下に陥落、その手術時に施された全身麻酔の後遺症にも苦しんだ。しかし、驚異の快復力で十両に復帰した把瑠都は、ここで北の富士以来43年ぶり4人目の十両全勝優勝を果たし、わずか2年で新入幕。幕内下位でもその勢いは続いたが、幕内上位に荒削りな相撲は通じなかった。脇の甘さや腰高、スピード不足という弱点を執拗に攻められた把瑠都は、相手の圧力と動きに翻弄され、何度も左膝を負傷した。「このままでは通じない」。把瑠都はこの時初めて相撲の基本・定石が必要不可欠であることを身に沁みて感じただろう。

 小結に戻った先場所は、場所前の夏巡業で新型インフルエンザに感染したものの、完治後は絶好調。直前の調整ではこれまでで一番多く四股を踏んだ。その効果はてきめんで、太腿はサポーターが急にきつくなるほど太くなり、下半身の安定感が倍増した。さらに相手の取り口に応じて、立合の戦法にも工夫を凝らした。これまでなかなか組み止められなかった相手への、機先を制する突っ張りは威力十分。体調万全で15日間を乗り切って、'86年春場所の保志以来23年ぶりに、関脇以下の力士による5大関撃破を果たし、12勝。大関への土台を固めた。

両横綱から勝ち星を挙げれば大関奪取も確実に。

 残る課題は、過去17回対戦して未だ白星のない両横綱戦。白鵬、朝青龍ともに把瑠都の怖さを知っているだけに、不利な体勢では一瞬も止まってくれない。カギは、好機に瞬時に怪力を発揮し攻撃できるか、だ。ここが修正され、最終進化を遂げたときこそ大関奪取の時。九州場所での把瑠都の横綱戦は注目である。

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