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本音を発信するブログが新たなメディアに。 

text by

市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byRyu Makino

posted2006/06/08 00:00

本音を発信するブログが新たなメディアに。<Number Web> photograph by Ryu Makino

 アスリートにとってブログは、今や情報発信の手段として欠かせない場所になっている。そのほとんどがシンプルに日常の出来事を綴ったものだが、ファンにとっては選手の生の声が聞ける貴重な情報源のひとつ。古田敦也など、著名なアスリートが運営する個人サイトへのアクセス数は相変わらず多い。

 そんな中、男子バレーボール、小林敦(東レアローズ)の個人ブログは他とは少々、趣が異なっている。バレーボールのテレビ中継にアイドルは必要か、リーダー論、企業スポーツのこれからについて等々、取り上げる話題は「独自のバレーボール論を語ります」という紹介文の通り、バレーにかかわることのみだ。全日本の主将を務めた経験も持つ現役選手でありながら、その発言は、誤解を招く恐れもあるほど大胆で、テーマは重い。

 「だって、僕みたいなオジさんが今日は何々を食べましたって、そんなの誰も知りたがらないし、気持ち悪いでしょう(笑)。だからお堅いとは思うけどバレーの話を真剣にしようと思ったんです」

 率直に意見を述べるぶん、辛らつになることもある。もちろん、反論も多い。

 「でも事なかれ主義で、現実を見過ごすほうが問題だと思いますね。バレー選手って、僕も含めて社会人じゃなくて会社人。井の中の蛙で、驚くほど視野が狭いんですよね。僕が一石を投じることで意見交換の場が生まれるし、ブログでのやりとりで僕自身も学ぶことが多いんです。そうやって少しでもバレー界が活性化すればいいと思ってます」

 小林は今年5月の全日本選手権を最後に現役を引退し、現在は東レのコーチとしてチーム育成に携わっている。

 「人気、実力ともに低迷している男子バレーとしては、ファンとの垣根をなくすためにチーム単位でもっとこういう情報の提供に取り組まなきゃいけないと思う」

 と、立場は変わってもブログの続行に意欲的だ。小林がブログを始めたきっかけのひとつは「頻繁に取材をされるような有名選手じゃなかったから」だった。昨今では男子バレー自体がメディアから忘れ去られた感が強く、選手の発言場所も年々減っている。こうした露出の少ない競技にとって、ブログは、今後ますます、選手と情報に飢えたファンとの架け橋になっていくだろう。

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