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NBA中を驚かせた、ロケッツの大胆人事。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2008/01/17 00:00

 ウィットに富んだコメントをさせたらNBA随一のブレント・バリー(サンアントニオ・スパーズ)は、「まるでビキニみたいだ」と言う。スタッツ(成績データ)のことである。して、その心は? 「眺めるのは楽しいけれど、すべてを見せてはくれない」とバリー。

 確かに、スタッツで選手の価値のすべてを表すことはできない。そのことは、古今東西のコーチたちが口を酸っぱくして言ってきた。個人スタッツを気にしすぎる選手はチームの和を乱すし、スタッツでは目立たなくてもチームには欠かせない選手も存在する。

 しかしそんな言葉とは裏腹に、NBAでもスタッツの存在は年々大きくなってきている。毎試合ごとに出されるボックススコアや、得点、リバウンド、アシストなどの個人成績ランキングは基本中の基本。出場時間を48分に換算したスタッツや、個々の選手が出ている時間帯の得失点差、選手のプレー効率など、様々な数字が計算され、公表されている。リーグが発表するスタッツだけではなく、各チームもスタッツ分析の担当者を雇ったり、あるいはデータ分析会社と契約したりして、それぞれ独自の基準でスタッツを計算し、選手獲得や契約といった決断の際に参考にしている。

 そんな流れの先端を行くのがヒューストン・ロケッツだ。'07年5月、統計学の専門家、ダリル・モレイ(35)を新GMに据え、バスケットボール運営を任せた。

 経営コンサルタント会社の一員として、ボストン・レッドソックス買収グループやボストン・セルティックス現オーナー・グループのチーム買収を率いたモレイは、その後、セルティックスで3年間、経営面の分析とともにバスケットボール面での分析も担当していたところをロケッツから引き抜かれた。大学時代にスポーツ統計の草分け、スタッツ・インクで働いた経験があるなど、統計家としてはエリートだが、バスケットボールのコーチ経験もスカウトの経験もなく、プレー経験も高校までという、言ってみればバスケ素人。そんな彼をGMに抜擢する大胆な人事に、NBA中が驚いた。

 果たしてこの先ロケッツに続くチームが出てくるのか、1回限りの実験に終わるのか。今、NBA中がモレイの動きに注目している。

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