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苦い経験から学んだ、
堅固なチームの作り方。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2007/12/28 00:00

 こんなことを言うとファンの人には怒られるかもしれないが、何年もの間、オーランド・マジックは砂の城のようなチームだと思っていた。比較的短期間でチームを作り上げたかと思うと、波にさらわれるかのようにあっと言う間にそのチームが崩壊するということを繰り返してきたからだ。

 最初は'92年と'93年に2年連続でドラフト1位指名権を引き当て、シャキール・オニールとアンファニー・ハーダウェイを獲得したとき。'95年にNBAファイナルに出場したが、その一年後にオニールに逃げられてチームは崩壊した。

 二度目は2000年夏、フリーエージェントでグラント・ヒルとトレイシー・マグレディという二人のスーパースターを一度に獲得して復活を狙ったとき。ヒルの故障や、'04年、マグレディを本人の強い希望でトレードに出すと、プレイオフ1回戦すら勝ち抜けずにチームは崩壊した。やはり簡単に作れる砂の城は壊れるのも早いのだと思ったものだ。

 そんなマジックがこの数年、大黒柱として大事に育ててきたのがドワイト・ハワードだ。'04年に高校卒業と同時にドラフト1位指名でNBA入りしたハワードは、体格と運動能力に恵まれたビッグマン。マジックは高卒の彼をいきなり救世主に仕立てるのではなく、ゆっくりと育ててきた。さすがに二度の“砂の城”体験で学んだのかもしれない。

 そのハワードが今季に入って大きな成長を見せている。元々得意としていたリバウンド(一試合平均12.3→15.2)、ブロック(1.9→2.9)だけでなく、得点(17.6→23.1)でも昨季より数字を伸ばし、攻守でチームの大黒柱にふさわしい存在感を発揮し始めた。新ヘッドコーチのスタン・バンガンディが早速彼をキャプテンの一人に抜擢したほどだ。

 「キャプテンになるとは思っていなかった。それだけチームがリーダーとして期待してくれているのだと思う」とハワード。12月に22歳になったばかりの彼にとってはまだ何でも新鮮なようで「試合前に審判や相手のキャプテンと集まって握手するのは気分がいい」と、大役にも気負わず、楽しんでいる。

 マジックは7月にハワードとの契約を2013年まで延長している。そろそろ“砂の城”は忘れたほうがよさそうだ。

■関連コラム► 未来のMVP――ドワイト・ハワードという逸材。 (04/12/01)

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