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未曾有の不況が続く中、
日本競馬よ、どこへ行く。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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posted2009/02/12 00:00

未曾有の不況が続く中、日本競馬よ、どこへ行く。<Number Web>

 JRAの馬券売り上げは、平成9年の4兆円強という数字をピークに、翌年から11年連続で下降線を描いている。これはバブル崩壊以降の世間の景気とほぼ同じ曲線。それだけに娯楽産業としては仕方のない流れであるとも言える。

 平成20年のそれは2兆7502億円。前年比で99.68%だから、未曾有の不況のなか、よく頑張ったと評価すべきだろう。個人的には、2割減という数字が発表されてもおかしくないと思っていただけに、競馬の底力を見直したほどだった。

 しかし、JRAは数年前から推し進めてきている「トータルコストダウン政策」を今年度の予算でも継続。特に、今年は対外的なメンツを保つ意味でも絶対に手をつけないだろうと言われていた、賞金の減額に踏み切ったことが注目されている。いわゆる「聖域」に踏み込んで9億円の削減をしたほか、馬主協会賞で6億5000万円、馬主相互会の助成金で1億5000万円など、総額21億5000万円の減額予算。おそらく、99.68%という頑張った数字が計上される以前に決められてしまっていた予算なのだろうが、競馬に関わる仕事をしている多くの人たちにしてみれば、モチベーションを奪われる発表であったのは想像に難くない。

 全国競馬労働組合の資料によると、いまのJRAの損益分岐点は、馬券の売り上げベースで2兆6000億円なのだそうだ。1兆円がこの世界の「夢の大台」で、それをついに達成して大喜びしていたのはほぼ30年前、昭和52年のことだっただけに、ファンが知らないうちにこの組織がどんどん肥満体質になっていたことがよくわかる。

 いい競馬を見せてもらうためには、賞金や手当てなど、その報酬を削ることは極力避けなければいけない。手をつけるべきは、30年の間に少しずつ、しかし着実に増やし続けてきた外郭団体のスリム化であるのは間違いない。競馬界に限らず、どこの世界でも問題視されている天下り先を多く抱えてしまったことがいまの世の中の閉塞感につながっているのは誰の目にも明らかなのだから。

 今年の3歳クラシックは牝馬のブエナビスタなど、スター候補が続々と出現して盛り上がりそうだ。競馬界ができるだけいい方向に進む1年であることを願ってやまない。

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