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新王者ヘイデン誕生で、MotoGPに地殻変動。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2006/11/23 00:00

 5年連続王者のV・ロッシと、初タイトルに闘志を燃やすN・ヘイデンのバレンシアでの最終戦決着は、ヘイデンの逆転王座で幕を閉じた。これまでの実績、実力を考慮すれば、8ポイント差で首位に立つロッシが俄然有利な状況だった。しかし、レース序盤にロッシが転倒、再スタートするも13位に終わり、3位表彰台に立ったヘイデンが、5ポイント差で念願のタイトルを獲得した。

 このレースで何よりも驚かされたのは、これまで圧倒的な強さを見せてきたロッシが、最終戦決着というプレッシャーの中で自滅したことだった。125cc、250cc、MotoGPクラスで、7回のタイトルを獲得した。しかし、初めて経験する最終戦決着という状況で、意外な脆さを見せてしまった。タイトルを逃したロッシは、「8点のリードを持ちながら、タイトルを取れなかったことが本当に残念だ。ミスはふたつ。スタートに失敗したこと。そして転倒したことだ」と素直に完敗の弁を述べた。

 一方、タイトルを獲得したヘイデンは、「エストリルですべてが終わったと思った。しかし、最後まであきらめてはいけない。勝っても負けても、今日は全力を尽くそうと思った」と、前戦ポルトガルの悔し涙を喜びの涙に変えた。グランプリに参戦して4年目。昨年は初優勝を達成、表彰台の常連に成長して総合3位につけた。今年はシーズンを通じて常に首位をキープするも、終盤戦はタイトル獲得のプレッシャーで失速。タイトルに手がかかったポルトガルでは、チームメートのD・ペドロサに追突されてまさかの転倒、ロッシに逆転される波乱もあったが、最終戦で見事に再逆転した。

 来季はエンジンが990ccから800ccになることで、バイクメーカー、タイヤメーカーの戦いが、より接戦になると予想される。そんな状況の中で、チャンピオン獲得でさらに強くなるであろうヘイデンを筆頭に、若手の台頭も著しい。無敵を誇ったロッシの痛恨のミスは、これまでライバルに与えていた「ロッシにはかなわない」という無言の圧力を消し去ることになった。途絶えた連覇。天才ロッシの巻き返しは必至だが、最終戦決着で見えたヘイデンとロッシの明暗は、MotoGPクラスが、新たな時代に入ることを予感させる。

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