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サッカー界、最先端の“体のケア技術”とは。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2005/09/01 00:00

 選手の“体のケア”の話をしよう。

 サッカーが巨大ビジネスになった今、選手は数億円稼ぐサラブレッドのように大切に扱われている。たとえば日韓W杯前にベッカムは骨折を治すために高濃度の酸素ルームを利用したし、ACミランが“ミランラボ”と呼ばれる研究室で、選手の体調を管理していることは有名だ。

 そして今季、ついに“遺伝子”の分野にまで足を踏み入れたクラブがある。ドイツのレバークーゼンだ。レバークーゼンはミュンスター大学の協力を得て、遺伝子レベルで選手の体が食物に対してどう反応するかを調べているのだ。これによって「A選手はサボイキャベツを、B選手はカリフラワーを食べると尿酸値を下げる効果がある」といったことがわかった。食事によって体内の解毒が効率よくできれば、細胞の働きが活性化してケガが早く治る、というわけだ。さらに、キスタスという樹木の煮出し汁に両足を30分間つけて、体内の老廃物を体外に出すこともやっている。簡単に言えば、アロマテラピーの一種。高級エステ顔負けだ。

 一方、日本のやり方も、ヨーロッパに負けていない。指先のわずかな感覚で患部を察知して指圧をほどこし、さらに針を使う日本の鍼灸治療は世界に誇る技術だ。カズ、名波浩、高原直泰の体を任され、日本でトップレベルの“指感覚”を持つのが、マッサーの藤田義行氏だ。高原の下を訪れていた藤田氏が言う。

 「1度ケガをすると100%に戻すのは不可能なこと。でも、それを8割、9割まで回復させるのが私たちの仕事です。針はたとえるならバズーカ砲のようなもので、大きな患部に有効。電気を流すことで、細かい神経まで活性化させることができる。その後は、また別の悪いところがわかるので、丁寧に指でマッサージしてとってやるんです」

 藤田氏はカズと「45歳までやろう」と約束しているそうだ。2人の情熱が、この夢のような話を実現させるかもしれない。

 どんな方法であれ、選手が元気に、より長くプレーを続けるのはファンにとって嬉しいこと。Jリーグのクラブにはどんどん最新ケアを輸入して、欧州のビッグクラブより優れた環境を作り上げて欲しいものだ。日本には、その下地がすでにある。

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