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J2のサッカーは、「きちんと」している。 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2005/08/18 00:00

 2部リーグで、これだけきちんとしたサッカーが行われているのは、世界的にも非常に珍しいことではないだろうか。J2のことである。

 「きちんと」の定義は難しいところだが、海外の監督や記者などの日本評に頻出するふたつの単語──collective,discipline──が、それをうまく表しているのではないかと思う。きちんとしたサッカーとは、「集団的で、規律のあるサッカー」というのが、私なりの定義である。

 ヨーロッパのトップリーグでさえ、下位同士の対戦になれば、やたらとボールを蹴りあう、大雑把なサッカーが展開される。周りのことなどお構いなしのスタンドプレーも少なくない。ところが、J2ではまずバランスよく、コンパクトな守備ブロックを作るところから始まる。スペースを与えることなく、組織で相手の攻撃を封じてしまう。どのクラブも、実に整然としたサッカーを行っている。2部リーグだからといって、雑なサッカーをよしとはしない。

 だが気になるのは、そこから先である。なまじ組織的な守備が整っているばかりに、それを崩す手段が、意識と技術の両面であまりに乏しいことを際立たせてしまうのだ。果たして、サッカーの醍醐味であるはずのゴール前でのスリリングなシュートシーンは数少ない。

 ワールドユースとコンフェデレーションズカップの取材によって、コンパクトな守備のなかでも互いに攻撃を仕掛けあうイメージが、まだ鮮明に残る眼と頭には、2部リーグとはいえ、この停滞感が気になって仕方がない。よくも悪くも日本のサッカーを象徴する現象である。

 「せっかく戦術を与えても、何をやってるんだと思うような試合がある。うちの選手のレベルはそんなもんです」

 きちんとしたサッカーを整備し、昨季の11位から一躍、昇格争いに絡んできた鳥栖の松本育夫監督はそう話す。もちろんJ1も例外ではないが、個々の選手の技術レベルで劣るJ2は、さらに日本のサッカーの特徴である「きちんと」が凝縮されている印象を受ける。

 自国のカラーが、2部リーグにまで浸透していることのすばらしさを感じる一方で、だが、そこにこそ日本サッカーの課題があるようにも思え、ある種の歯がゆさを感じてしまうのも事実である。

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