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怪我人が続出してもヤンキースが強い訳。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2006/07/04 00:00

怪我人が続出してもヤンキースが強い訳。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 レフトの松井秀喜、ライトのゲーリー・シェフィールドがともに手首のケガで長期戦線離脱したのを始め、今シーズンのヤンキースはまるで何かに祟られたかのように故障者が続出。スタメンの半数近くを控え選手で戦うということも珍しくない。当然、苦戦が続く。チームは満身創痍となっているはずだ。だが、それでも追撃態勢をみせるブルージェイズをかわしながら、天敵レッドソックスと激しい首位争いを演じている。

 ヤンキースはこの数年、どこか緊張感に欠けていた。ところが今シーズンは'98年から3連覇したときのようなガッツを感じる。それを作り出しているのが、デレク・ジーター、バーニー・ウィリアムズ、ホーヘイ・ポサダ、そしてマリアノ・リベラの'96年からの黄金時代を築いてきた、生え抜きカルテットである。

 象徴的な試合となったのは、得点しても、すぐに取り返され、逆にリードされるという厳しい展開となった対ナショナルズ戦(6月16日)だった。3対5と2点差を追う8回、まず先頭のウィリアムズがこの日3本目の安打。続いて代打出場のポサダが右前に打ってつなげ、2本の安打を挟んでジーターがカウント2―3と粘りに粘って同点の押し出し四球。9回にはウィリアムズが決勝ホームランを放ち、8回途中から登板したリベラが完全救援。4人とも気迫が漲っていた。

 「どんな使われ方でもいい。その役割をしっかり果たしてみせる」

 ヤンキース一筋で、このチームで現役を全うしたいと願うウィリアムズは開幕前、監督室に出向いて、苦しい展開を予期していたようにこう話したという。トーレ監督の今季のウィリアムズに対する信頼は「天候やTPOに関係なく、ついつい着てしまう冬のコート」と語るほど。

 また、主将ジーターは死球で欠場を余儀なくされた時期があったにもかかわらず、チームを鼓舞するようにこう言った。

 「オレはどんなときだってプレーするための準備をしている。勝ちたいんだ」

 両翼をもがれながら、踏ん張るヤンキース。外野全てのポジションを守り、DHも務めるウィリアムズ、チームに活を入れるジーターらの活躍は、他の選手に大きな刺激を与えると同時に『勝利の伝統』を次世代を担う選手らに伝えている。次号はその継承者にスポットをあてる。

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