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ファンの期待に応えるスターホースは何処? 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2008/05/15 00:00

ファンの期待に応えるスターホースは何処?<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

 皐月賞は、キャプテントゥーレ(牡 3歳、栗東・森秀行厩舎、父アグネスタキオン)が逃げ切りで優勝。マイナス18キロという馬体重で想像できるように、厩舎サイドは「ダービーのことなんか考えない。この一戦に向けてオツリのない仕上げで臨んだ」と、まさにしてやったりの表情。これにこたえて、思い切りよくハナに行った川田将雅騎手の騎乗も素晴らしかった。

 観戦する目には、1コーナーを回ったあとでスローペースに落ち着いたのが見て取れたわけだが、他馬のジョッキーたちはスタート直後の川田騎手の派手なアクションに幻惑されて、「無理な逃げを打ったもの。どうせ潰れる」と思い込まされたというのだ。そうなれば、主導権を取った川田のアドバンテージが大きい。最後に急坂がある直線を残す時点で、「やっちゃった、と思った」と言うのも正しいペース感覚。余力をゴールまできっちり配分して、影をも踏ませない完璧な逃げ切りを収めてしまった。

 22歳、デビュー5年目の川田は、これが自身初のG?勝利。「やっちゃった」という表現に、彼の喜びの大きさが表れているが、決して出来過ぎではない。この先、10年、20年とトップ騎手の一角に座るはずの男の最初の勲章がこれだっただけだ。父と曾祖父が地方競馬で名騎手として鳴らした人で、祖父も調教師だったバリバリの競馬一家。その練り込まれた技は四代に継承されてきたものなのだ。

 将来有望な騎手が全国区に名乗りをあげたのはよかったが、クラシック戦線はますます混迷の度合いを深めることとなった。勝った馬がレースの翌日に全治9カ月の骨折を負っていることが判明し、この時点で三冠馬の可能性が消滅。2着のタケミカヅチに主役を引き継ぐ器量があるかと問われれば、決してそうは思えない。3着のマイネルチャールズが、この皐月賞で1番人気の支持を集めたこともあり、暫定首位と見ることもできそうだが、決め脚に凄みを欠くだけに、天下統一の道は険しい、と言わざるを得ない。ダービーはなにが勝つか本当にわからなくなった。

 ディープインパクト以後、絶えて久しい本物のスターホース。渇望するファンの期待にこたえてくれる馬はいつ現れるのだろうか。

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