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ロッシvs.ホンダに見るレースの醍醐味。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2004/08/12 00:00

 第9戦イギリスGPを終えて、V・ロッシ5勝、ホンダ4勝。ロッシvs・ホンダの戦いになると言われた今年のMotoGPは予想通りの接戦となった。しかし、ここまで激しい戦いになるとは、誰も思わなかったのではないだろうか。

 ロッシはホンダで3年連続チャンピオンに輝き、天才ライダーの名をほしいままにしてヤマハへ移籍した。その理由はホンダでなくても勝てるということを証明するためだった。一方、ロッシが去ったホンダにとっては、今年は天才を相手に勝てることを証明しなければならないシーズンになった。

 その戦いは、双方の意地を存分に見せつけるものだった。9戦を終えて、ホンダ以外で勝ったのはロッシのみ。対してホンダはS・ジベルノー、M・ビアッジ、玉田誠が勝ち、表彰台に立った延べ人数でも、9戦27人のうち、ホンダが19人と圧倒的な数字を残している。ホンダのバイクの完成度の高さ、そして、そのホンダを相手に5勝を挙げたロッシの天才ぶりに、もはや異論を挟む余地はない。

 いまのMotoGPマシンに求められるのは、絶対的な基本性能はもちろんのこと、強大なパワーを有効活用する技術である。2ストローク500ccから、4ストローク990ccになって、マシンをコンピュータ制御できる幅が広がった。その結果、グランプリ最高峰の戦いは、これまで以上にマシンの性能差が明確に表れるようになった。

 これまでの戦いを見ていると、条件が悪くなればなるほど、ホンダ勢が優位に立ち、ロッシは表彰台にも立てなかった。対照的に、条件が良く、コーナーのスピードを生かせる場所では、天才の名に相応しい走りでロッシがホンダ勢を抑えた。それは、オートバイレースでは依然として人間の力の占める比重が大きいということを教えているのと同時に、マシンの性能差が以前にも増して鮮明になっていることを示しているのではないだろうか。

 シーズン後半戦は、両者のチャンピオン争いという次なるステージへと進んでいくことになる。ホンダはさらに平均点の高いマシン作りに全力を注ぎ、ヤマハはロッシに手柄を独り占めされようとも、特定のサーキットに特化したマシン作りで打倒ホンダを目指そうとしている。残り7戦。ロッシvs・ホンダの戦いは、これからが本番となる。

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