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荒れたレースを制したアロンソのグリップ力。 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2006/04/20 00:00

荒れたレースを制したアロンソのグリップ力。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 誰がF・アロンソを止めるか。どこのチームがルノーを抜けるか。これから始まる“ヨーロッパラウンド”ではそれが見どころになる、と全く同じ事を1年前にも書いたのだが……。

 秋深まるメルボルン。第3戦オーストラリアGPで24歳の若きディフェンディングチャンピオンは今季2勝目を挙げ、28ポイントとリードを広げた。ホンダ・チームとして38年ぶりになるポールポジションを決め、39年ぶりの優勝も期待されたJ・バトンを4周目にあっさりパスした。セーフティーカーによる隊列走行が続いたあとの再スタートのタイミングで、バトンが充分にタイヤを温めきれずに加速が鈍ったところを突いた。このレースでは4度もセーフティーカーが出動する事態が発生。フェラーリのM・シューマッハーを含め多くのマシンがアクシデントでリタイアする乱れた展開になっていた。しかしアロンソは自由自在にペースをコントロール。終盤はこのまま第4戦サンマリノGPに使うことになるエンジンをセーブ、1000回転も下げてチェッカーを受けた。まさに“横綱相撲”だった。

 彼のルノーR26シャシーが低温コンディションでタイヤのグリップをいち早く高め、素晴らしいダッシュ・スピードを見せつけていたのは、その空力性能ダウンフォース・セッティングによるところが大きい。またアロンソ自身も意図的に、激しく踊るようにマシンを振り回し、タイヤそのもののウォームアップを促した。スタート直前にコンマ数秒単位でステアリングを左右に切りながら、同時にアクセルを煽り、前後輪タイヤとも同じレベルに温めるという非常に高度なテクニック。マクラーレンのJ-P・モントーヤが同様の動きでスピンしてしまったほどだ。再スタートのたびにアロンソはそうやった。勝因のひとつに挙げたい。

 前回このコラムでは4月の2レース、オーストラリアGPとサンマリノGPで今シーズンの今後の行方が見えてくるだろうと書いた。次の第4戦サンマリノGP(決勝4月23日)が今年最初の天王山となる。ストップ・ザ・ルノー、ストップ・ザ・アロンソはなるか。やや焦りが出てきたライバルに対しアロンソは「次も表彰台に立てればそれでいい」と不敵な発言をしている。

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