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アイバーソンの成長とシクサーズの変貌。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2005/03/17 00:00

 近頃、アレン・アイバーソンの言葉に頷かされることが多い。かつて反逆児の代表のように突っ張った言動が目立ったアイバーソンだが、30歳を目前に、プレーにも言葉にも円熟味が感じられる。

 先日のオールスター・ウィークエンド中にもチームの現状について聞かれ、「トレードがあってもなくても今のチームで満足している」と言った。シクサーズの成績は5割を下回っているのだから、本気で満足しているわけはなかった。しかしチームのリーダーであるアイバーソンは、成績低迷が戦力不足によるものだとは言いたがらなかった。そう言ったらチームメイトを信頼していないことになってしまう。今でも突っ張っているし、優勝に対するハングリー精神は誰にも負けないくらい強い。しかし、フランチャイズプレイヤーとして当然の権利のようにチーム首脳陣に補強を要求したり、それが実現しないからといってトレードを求めたりするのは、忠誠心が強いアイバーソンの流儀ではなかった。

 「もちろん勝ちたいさ。でも、何よりもフィラデルフィアで勝ちたい。自分の人生で何事も簡単だったことはない。優勝するには険しい道のりを通るしかない。だって神様がこっちにやってきてシクサーズのユニフォームを着てくれるわけじゃないからね」と言った。

 オールスター後、力強い助っ人がシクサーズのユニフォームを着ることになった。予想外の大胆なトレードで、シクサーズはオールスター常連のクリス・ウェバーを獲得したのだ。得点力だけでなくパス能力があるビッグマンをチームメイトに迎え、アイバーソンは手放しで喜んだ。

 「クリスがこのチームに何をもたらしてくれるか、その可能性は無限だ。トレード前は誰もカンファレンス・ファイナルのことすら口にしなかったのが、今ではどうやってカンファレンス・ファイナルに進むかということを話し始めた。(2001年に)ファイナルに行ったときの感覚を思い出したよ」

 2月28日現在、シクサーズは26勝29敗、プレイオフの座から2ゲーム分も圏外にあるだけに、ファイナルもカンファレンス・ファイナルも遠い目標だ。それでも、今のアイバーソンのためだったら、神様でさえシクサーズのユニフォームを着たくなるかもしれない、そう思うのだった。

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