SCORE CARDBACK NUMBER

元祖イタリアの天才、ついに現役引退か? 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

photograph by

posted2005/12/08 00:00

 トップライダーとして長らく君臨してきたM・ビアッジが、最終戦バレンシアGPを最後にシートを失った。ビアッジは今季、ホンダのワークスチーム「レプソル・ホンダ」へ移籍。無敵を誇るヤマハのV・ロッシの対抗馬として、その活躍が期待された。しかし、優勝はなく、わずか4回の表彰台で総合5位に終わった。即戦力として期待されていただけに、振るわない成績により来季のチーム残留の可能性は消滅した。

 しかし、チャンピオンを取る力がなくなったとはいえ、ある程度、結果を計算できる実力は魅力的で、スポンサーの後押しもあり、来季はホンダのサテライトチーム「ホンダ・ポンス」へ移籍すると見られていた。しかし、バレンシアGPで「ホンダ・ポンス」は、22歳の新鋭C・ストーナーの起用を決めた。

 ビアッジは、'91年に250ccクラスでGPデビューを飾り、'94年から4年連続で250ccタイトルを獲得。その鋭い走りで天才の名をほしいままにした。'98年にはホンダから500ccクラスにデビューし、衝撃のデビューウィンを遂げた。しかしその後、ヤマハに移籍したもののチャンピオンを取れず、天才の名も主役の座も、同胞イタリアのV・ロッシに譲ることになった。そして2年前にホンダに復帰したが、結果を残せず、ついに引退の瀬戸際に立たされてしまった。

 ライダーは大きな怪我をするか、やめざるを得ない状況が生まれなければ、なかなか引退の決断ができないものだ。トップライダーであるほど、その決断は難しい。ビアッジは周囲に「もう一年」と言って来季のラストシーズンに懸けていたが、勝てるチームでの「もう一年」は完全になくなった。

 ライダーの勢いは年齢を重ねる毎に下降線をたどるが、対照的にテクニックは上昇線を描く。その交差するところがライダーのピークだが、この数年の走りは、そのピークを過ぎていることを証明していた。さらに、レースに勝つには、いいバイクといいチームが必要となる。500ccを走り出して以降、トップカテゴリーにおけるビアッジは、「勝てる」タイミングを逃したのかもしれない。

 引退の二文字がちらつくビアッジだが、地元イタリアはかつての英雄の引き際を意外と冷静に受け止めている。

関連キーワード
MotoGP

ページトップ