SCORE CARDBACK NUMBER

BSのタイヤマジックでドゥカティが連勝達成。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

posted2005/10/13 00:00

 MotoGPの終盤戦に大きな変化が訪れた。V・ロッシのタイトル王手で迎えた日本GP、そしてロッシがチャンピオンを決めたマレーシアGP。いずれのレースでも、主役を演じたのはロッシではなく、ドゥカティのL・カピロッシだったからだ。

 日本GPでは追いすがるM・ビアッジを簡単に振り切り、マレーシアGPでは優勝でチャンピオンを決めたいロッシを突き放した。「ブリヂストン(BS)が素晴らしいタイヤを作ってくれた。レースを始めて16年。まだまだやれるってことを感じたよ。最高のレースだった」とカピロッシは、満面の笑みを浮かべた。ドゥカティとBSにとって初の連勝だった。

 この10年、最高峰クラスでは153戦中148勝を挙げるほど、ミシュラン(MI)が圧倒的な強さを見せてきた。事実、MotoGPクラスでチャンピオンを獲りたいのなら、タイヤはMIと言われてきた。それは今季も変わらず、MIを履くロッシがチャンピオンに輝いた。タイヤのブランド別の勝ち星となれば、第11戦までMIが全勝してきた。しかしここに来て、BSの猛反撃が始まった。流れが大きく変わったのは、後半戦のスタートとなったチェコGPだった。ここでBSはニュータイヤを投入し、カピロッシが2位になった。それをベースに改良したタイヤで連勝を達成したのだ。

 BSの良さはタイヤライフにあると言われる。なだらかにグリップが落ちていくMIに対し、BSは初期のグリップ低下は大きいが、それ以後は低下しない。日本とマレーシアはそのままのレース展開だった。思えば、BSがMotoGPに参戦を決めたとき、MIは「F1で実績のあるBSの参戦は脅威です」と語っていた。この数年で、BSは有力チームにタイヤを供給することになり、その脅威は現実となった。

 200馬力を超えるMotoGPでは、エンジンがタイヤの性能を上回るオーバースペックの時代が長く続いている。タイヤの限界でレースをしていると言われ、その性能がリザルトに直結する。王者ロッシはマレーシアGPで「今日はカピロッシに遊ばれた。このままではBSに勝てない」と危惧を抱いた。MIもこのまま黙っているわけがない。本当の意味でのタイヤ戦争が始まったのかもしれない。

ページトップ