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英国遠征で実力を証明したゼンノロブロイ。 

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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posted2005/09/01 00:00

 日本の古馬チャンピオン、ゼンノロブロイ(美浦・藤澤和雄厩舎、牡5歳)が、英国伝統のビッグレース「インターナショナルS」(8月16日ヨーク競馬場、芝2080m、GI)に挑戦した。藤澤調教師は、昨秋の古馬3冠完全制覇を決めたときからこのレースに照準を定めていたという。アスコット競馬場が改修工事に入り、代替地としてヨークが舞台となることも承知していて、「あそこの軽い芝、長い直線なら、ヨーロッパの超一流が相手でも五分にやれる」と踏んでいたのだ。若き日に、この地で修業していた人ならではの選択だった。

 しかし、いざ現地に行ってみると、そのタフなコースに圧倒された。決して短くない距離なのに、向こう正面半ばがスタートでコーナーは2つだけ。バックストレッチは特に起伏に富んでおり、最後の直線は1000m近くある。いかにゼンノロブロイが「どんな状況下でも動じない馬」(藤澤師)であるとしても、正真正銘のアウェーで、しかも未経験のコースパターンというのは荷が重そうに思えた。ヨークは初騎乗、ロブロイに乗るのも初めてという武豊騎手は、いかにも彼らしく、第1レースの発走前に芝コースを歩いて1周してきた。「楽しみですね」と言いつつも表情は固い。馬場には小細工が利くところがなく、真っ向からの力勝負を覚悟したからだろう。

 事実、厳しいレースになった。6番手という位置取りは7頭立てだけに問題ないとしても、手応え自体がよくない。3コーナー過ぎで一発気合をつけられていたほどで、直線に入ってからも真っ先に手が動き出した。武豊騎手も「もうダメなのかと、何回か覚悟した」と告白する。

 しかし100mを過ぎて、苦労しながらもついにギアがトップに入り、一瞬で先頭に立つ。最後の最後にエレクトロキューショニスト(直訳で感電死させる人。つまり死刑執行人)に差されたが、内容的には勝ちに等しいものだった。

 武豊騎手も「二の脚、三の脚、なんてものではありません。想像とはかけ離れた強い精神力でした。やっぱり恐ろしく強い」と、馬に最敬礼。ちなみに武騎手としては珍しく、ムチの使い過ぎ(英国のルールは6発まで)で制裁を課されるというおまけ付き。その奥の深さに、彼がどれほど驚いたかの証明だ。

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