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個性派の2人が見せる、
ベテランの誇りと情熱。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2006/12/07 00:00

 それは、不思議なほど似通った光景だった。11月の別々の日にロサンゼルスを訪れた2人の選手が、ステープルズセンターのビジター用ロッカールームの、同じ隅のロッカー前に腰掛け、終わったばかりの負け試合の敗因を分析し、その一方でチームメイトへの信頼や近い将来への希望を熱弁していた。

 一人はNBA12シーズン目を迎えるミネソタ・ティンバーウルヴスのケビン・ガーネット。もう一人はNBA11シーズン目のフィラデルフィア・セブンティシクサーズのアレン・アイバーソン。個人としてはMVPなど多くの栄光を手にしてきた2人だが、チームとしての頂点、優勝には未だに手が届かずにいる。それどころか昨季は2人ともプレーオフさえ逃し、今季もチーム状況は決していいとは言えず、苦戦が予想される。

 それでも2人は希望を口にしていた。

 ガーネットは言う。「このチームは成長過程にある。とてもいいチームになれる可能性を持っている」

 しかし、そう言った時点でTウルヴスの成績は2勝3敗。その後も負けが先行して、11月20日現在、3勝6敗。西カンファレンス全体でも下から2番目の成績だ。

 11月18日、ロサンゼルス・クリッパーズに敗れたことでシクサーズは4勝5敗と、成績は5割を下回った。それでもアイバーソンは言う。「今シーズンも、これまで以上にチームの成功を信じている。自分自身を、チームメイトを、コーチ陣を信じている」と。

 チームメイトが入れ替わり、コーチが交代し、自分のトレードの噂を何度も聞きながら、それでも2人は10年以上、いつか報われる日が来ると信じ、同じチームでプレーし続けてきた。スーパースターでも移籍が当たり前の時代に、頑に同じユニフォームにこだわってきた。

 「俺はこのチームしか知らない。ここで学び、大人になってきた。心の底からシクサーズなんだ。だからこそシクサーズとして優勝したい」とアイバーソン。

 ガーネットは「忠誠や継続性といったことがどうでもいいとされる社会になってきてしまった」と憂い、そして言い加える。「でも僕は古い人間なんだ」と。

 他の選手が去り、試合の熱気も消えつつあるロッカールームで、彼らの言葉は静かに、しかし熱く染み込んできた。

■関連コラム► 全米で話題の的、アイバーソンの代表落選。 (2006年3月23日)
► アイバーソンの成長とシクサーズの変貌。 (2005年3月17日)

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