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武者修行中の清成が、いよいよ正念場を迎える。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2006/09/28 00:00

武者修行中の清成が、いよいよ正念場を迎える。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 英国スーパーバイク選手権(BSB)に参戦して3年目の清成龍一が、2年連続でタイトル争いに加わっている。今年は11戦を戦い、8勝を含む12回の表彰台。圧倒的勝率で一度は首位に立つも、ノーポイントに終わった3レースが響き、チャンピオン争いは最終戦までもつれこみそうだ。

 昨年は最終戦決着でタイトルを逃した。今年も2戦を残し総合3位。昨年に続き、地元イギリスのL・ハスラム、スペインのG・ラビッラとの3人による熾烈な戦いを繰り広げている。タイトルを獲得すれば、日本人としては初の英国シリーズのチャンピオンとなる。

 清成は鈴鹿8時間耐久レース優勝('05年)の実績を持ち、これからを期待されている若手のひとりだ。本来なら全日本選手権で力をつけて世界に出て行くべきライダーだが、全日本は“イコールコンディション”という名の下に、数年前からワークス参戦ができなくなった。そのために、日本のメーカーはレーシングマシンの開発と若手の育成の舞台を、海外に移さなければならない状況に陥っている。現在、ホンダがWGPで行っている「ホンダ・レーシング・スカラシップ」は若手育成が目的だが、清成の英国参戦も含め、国内のいびつなレース形態が生んだ産物でもある。

 そんな状況のなか、イギリス・ホンダからシリーズ戦に参戦している清成は、この3年間で語学はもちろん、多くのことを学んできた。清成は'03年に事故で亡くなった加藤大治郎の遺志を継ぐ選手というかたちで、MotoGPクラスに途中から参戦した。初めて経験する海外のレースが最高峰クラスという特異なキャリアの持ち主だが、翌年、ホンダは彼を契約ライダーとしてBSBに参戦させ、一から鍛え直している。清成より1年先に参戦し、現在はスズキでスーパーバイク世界選手権を戦う加賀山就臣もしかり。彼らが学んでいるのは、現在の国内では得られないことばかりである。

 そんな清成のささやかな願いは、1年に一度でいいから全日本に出場したいということ。なかなか実現しそうにないが、もし可能ならば、イコールコンディションという制度の下で日本のシリーズ戦が失ったものを、清成は教えてくれるに違いない。

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