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マッハの野性的勝利と
外国人選手の新旧交代。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2009/04/23 07:00

 4月5日のDREAM8は、前回のDREAMフェザー級GP開幕戦の低調ぶりを吹き飛ばすほどの勢いを感じさせる大会だった。一番大きなインパクトを残したのは、DREAMウェルター級GP開幕戦として組まれた桜井“マッハ”速人対青木真也の一戦だ。桜井がグラウンド状態からの顔面ヒザ蹴りで青木を失神KOに追い込んだのだ。わずか27秒の秒殺劇だった。試合前、青木が「マッハさんは古いスタイル」と酷評したことで、ベテランの怒りに火がついた。青木のように最新の寝技の技術は持ち合わせていないかもしれないが、桜井は立ってよし寝て良しの元祖オールラウンダー。基礎がしっかりしている者にとっては技術の新旧より、勝負の際を見極める野性の勘の方が重要だった。昨年までライト級を主戦場にしていた青木の一階級上への挑戦が、眠り続けていた桜井の本能を呼び起こしてしまったかに見えた。

桜井“マッハ”だけじゃない! 魅力的な新外国人選手が続々と

 桜井以外で準決勝に勝ち残った初来日の外国人勢も魅力的に映った。トリッキーな蹴りで逆転勝利を収めたマリウス・ザロムスキー、卓越したグラウンドテクニックで一本勝ちした柔術世界王者のアンドレ・ガウヴァオン、ウェルター級を超越したパワーとライト級並みのスピードが武器のジェイソン・ハイの3名だ。優秀な人材はアメリカのメジャープロモーションに独占されていると思われていたこのクラスにも、捜せばダイヤモンドの原石はまだまだ埋もれている。

 また、極真の中量級世界王者アンドリュース・ナカハラは、DREAM3戦目にして特異な存在感を見せつけた。今の総合の流れの中でヒット・アンド・アウェーを主体とする打撃が非常に有効だったのだ。伝統派空手出身でUFCで活躍中のLYOTO同様、総合における空手復権のキーパーソンになるかもしれない。

 対照的にセルゲイ・ハリトーノフやムリーロ・ニンジャといった、かつてPRIDEで活躍した重量級戦士は精彩を欠いた。ハリトーノフは明らかに調整不足。以前の神秘的なムードは完全に失せていた。すっかり体が萎んでしまったニンジャも全く往年の力強さを感じさせぬまま、前日に参戦が決まった代打・福田力に殴り負けした。ネームバリューだけの外国人選手が無意味なことを、今大会の結果には強く感じさせられた。

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