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もう一度原点へ……。ルイ・ヴィトンの新たな挑戦。 

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清水宗己

清水宗己Motoki Shimizu

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posted2009/01/29 00:00

 ルイ・ヴィトンといえば、1983年以来、アメリカズカップに挑戦する艇を選抜するルイ・ヴィトンカップをオーガナイズし、一般には馴染みの薄かったセーリング競技の魅力を懸命にアッピールしてきたことで知られる。そのルイ・ヴィトンが、ニュージーランド政府やオークランド市などの後援を受け、今月末から2月14日まで、2000年と2003年にカップ争奪戦を繰り広げたオークランド沖で「ルイ・ヴィトン パシフィック シリーズ」と名付けた新しいセーリング・イベントを開催する。

 今回は、陸上からの観戦を可能にするためオークランド市街に近いレース海面が選ばれているが、それ以上に興味深いのは使用されるレース艇である。エミレーツ・チーム・ニュージーランドとBMWオラクル・レーシングが、'07年用に開発した艇を2杯ずつ借り出し、参加各チームが交互に乗り換えることで条件をイーブンに近づけているのだ。これにより純粋にセーリングの技術を競うマッチレース形式の大会となる。エントリーした10カ国12チームには、世界の主要なセーリング競技大会に欠かすことのできないチーム・ニュージーランドやBMWオラクル・レーシング、ルナ・ロッサなどの強豪チームはもちろん、珍しいところでは中国やギリシャ、意外なことに法廷で係争中のアリンギも名を連ねている。

 実は2007年の第32回アメリカズカップが終了した直後、初の防衛に成功したばかりのアリンギから次回大会のためのレース実施要項が発表されたのだが、あまりにも防衛側に有利な内容ばかり列記されていたため、複数の挑戦予定チームから抗議が噴出。BMWオラクル・レーシングが、アリンギの提案する実施要項は防衛側の権利を大きく逸脱しているとして、アメリカズカップの競技規定を記した法的文書(贈与証書)が登記されているニューヨーク州最高裁判所に提訴。判決が二転三転した現在(1月12日時点)、次回大会の行方はレース海面ならぬ法廷で闘われている状態である。

 しかし、今回の「ルイ・ヴィトン パシフィック シリーズ」が開催されることによって、純粋にセーリングの醍醐味を満喫できる大会として盛り上がるはずである。後々まで継続されることを、レース好きのセイラーたちは切に願っている。

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