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初参戦から6連勝、武士道に五味隆典あり。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2005/06/09 00:00

初参戦から6連勝、武士道に五味隆典あり。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

 目が覚めるような逆転KO勝ちだった。『PRIDE武士道 其の七』(5月22日・東京)のメインで組まれた五味隆典(木口道場レスリング教室)とルイス・アゼレード(ブラジル)の一騎討ち。五味の左フックによってアゼレードが吹っ飛ばされると、場内は割れんばかりの歓声に包まれた。当たった瞬間、シュートボクセが誇る軽量級の雄は完全に屍状態。もうレフェリーがダウンカウントを数える必要はなかった。その直後、五味が倒れ込んだアゼレードにさらに攻撃を加えようとしたため、アゼレードのセコンドが怒って乱闘騒ぎになったのは蛇足に過ぎない。

 それまではピンチの連続だった。アゼレードが俊敏な動きとともに右フックやジャンピングハイを繰り出すたびに、五味の動きが止まる。ムキになって反撃しようとしても、空振りばかりが目立っていた。典型的な五味の負けパターンだ。

 昨年、PRIDEのリングで5試合連続1R勝利という驚異的なレコードを残している五味は、いまや完全に世界中の中量級戦士から追われる身。アゼレードの同門ジャドソン・コスタも一蹴されているから、アゼレード陣営の打倒五味に対する意気込みはハンパではなかった。

 いきなりアゼレードがスタンドの打撃戦で優位に立ったのは、今回の試合が6カ月ぶりという、五味の鈍っていた実戦の勘の部分をついたからにほかならない。だが今回の武士道は中・軽量級に特化した第1弾。おまけに前半戦では日本人選手が4試合連続で倒され、中盤戦以降は膠着した試合もあっただけに、エース格の五味が負けるわけにはいかなかった。

 逆転のきっかけはセコンドの機転でパンチの種類を途中からストレート系からフック系に切り換えたことと、窮地に立たされても一歩踏み込んで打つ勇気を五味が忘れていなかったからだろう。五味はKOのインパクトに体の大小が関係ないことを具現化して見せた。

 試合後、以前苦杯を嘗めさせられているヨアキム・ハンセン(ノルウェー)や修斗ウェルター級王者川尻達也(チーム・トップス)など国内外を問わず対戦希望者が殺到する状況に、当の五味は「いつでもやるんで、そこんとこよろしく」。

 中量級の絶対王者候補はどんな強敵にも背を向けない。

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