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大陸予選で蘇った、つかのまの夢のチーム。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2007/09/20 00:00

 アメリカ代表に“ドリームチーム”の名称が使われなくなって久しい。1992年、バルセロナ五輪のときの元祖ドリームチームは、他国を圧倒し、魅了した、まさに“夢”のチームだった。あれから15年、アメリカは2000年のシドニー五輪で優勝したのを最後に世界舞台での優勝から遠ざかり、自然と“ドリームチーム”の呼び名も聞かれなくなった。

 しかし、今年のアメリカ代表はひと味違う。先ごろラスベガスで行われたアメリカ大陸予選では、平均39.5点差をつけて10戦全勝と、圧倒的な強さで優勝を果たした。世界の舞台ではなく地区予選にすぎないが、ジェイソン・キッド、コービー・ブライアント、レブロン・ジェイムス、カメロ・アンソニーといったトッププレイヤーたちが一丸となって戦う試合ぶりに、対戦相手や元祖ドリームチーム選手のマジック・ジョンソンらも、'92年のチームに姿を重ねたほどだった。

 もちろん、だからといって来年の北京五輪で“ドリームチーム”の世界が復活するわけではない。何しろ、世界、特にヨーロッパの各国のレベルは15年前よりずっと上がってきているのだ。

 それでも、少なくとも選手たちにとってはこのチームはすでに「夢のチーム」だ。欲しいところにパスが来る。パスを出せば、いとも簡単にシュートを決めてくれる。孤軍奮闘で2人、3人のディフェンスを相手に戦わなくても頼りになるチームメイトがいる。それぞれ、所属のNBAチームで、こういうプレーをしたい、こういうチームメイトが欲しいと思っていた夢が、代表チームでは現実のものになった。そして何よりも、負け試合の悔しさを経験する必要もなかった。

 現実の世界ではチームのフロントと衝突してトレードを要求したり(ブライアント)、ライバルチームが補強するのを後目に自分のチームに動きがないことを心配したり(ジェイムス、アンソニーら)、それぞれ不満や不安を抱えている選手たちも、アメリカのユニフォームを着て戦っていた間だけは夢の世界を経験することができた。「僕らはみんなこのチームで甘やかされてしまった」と代表の一員、マイケル・レッドは言う。「でも、そろそろ現実の世界に戻るときだ」

 NBAのトレーニングキャンプ開始まで、1カ月を切った。

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