SCORE CARDBACK NUMBER

キーワードは北京五輪。中国から大型新人参戦。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2007/07/12 00:00

 この秋からNBA入りする新人の中で大物選手といえば、誰もが思い浮かべるのはグレッグ・オーデンとケビン・デュラントの二人だが、実は、世界への影響力という点では彼らよりさらに大物の選手がいる。中国のイー・ジャンリャンだ。

 213cmの長身ながら機敏で、ダンクから柔らかなジャンプシュートまで決める多才なイーは、言ってみればこれまでのアジア人のイメージを覆すようなタイプ。19歳という若さ(実は22歳という説もあるが)も相まって期待されている。しかし、彼が注目されているのは単にバスケットボール能力だけではない。

 その鍵は来年の北京五輪にある。北京五輪をきっかけに中国でのビジネスに参入したい企業にとって、イーは注目の存在なのだ。たとえば試合のテレビ放映ひとつをとっても、ヤオ・ミンがいるヒューストン・ロケッツの試合が中国で高視聴率を得ているように、イーのチームも中国本土での露出が高くなることは確実、宣伝効果が期待できる。

 一方、中国バスケットボール協会が今年イーにNBAに出る許可を与えた陰にも、北京五輪がある。3年前のアテネ五輪で8位、去年の世界選手権でベスト16に終わっている中国にとって、自国での五輪に向けてさらなる代表の強化は必須。中心選手の一人、イーにはNBAの高いレベルで一シーズン戦うことで世界を相手に戦える選手としてレベルアップすることを期待している。

 さらにはNBAにも思惑がある。NBAコミッショナーのデビッド・スターンは、最近になって、北京五輪後の中国でNBAブランドの新リーグを始める計画を検討していると発表した。そのリーグが軌道に乗り成功するためにも、ヤオやイーの活躍は欠かせない。

 当のイーは、周りのそんなプレッシャーはどこ吹く風。子供の頃からマイケル・ジョーダンに憧れ、ヒップホップが大好きな今時の若者は、4月からロサンゼルスに居を移し、トレーニングと英会話に励み、NBA入りに備える毎日だ。

 「NBAは僕にとって夢の場所。人生最大の挑戦になるだろう」とイーは言う。「でもヤオ・ミン二世やワン・ジージー二世になるのではなく、自分独自の道を歩みたい」と、なかなか頼もしい。

関連キーワード
NBA

ページトップ