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ついに目覚めた矢野東が真価を問われる2カ月。 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byTaku Miyamoto

posted2008/10/23 00:00

ついに目覚めた矢野東が真価を問われる2カ月。<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

 矢野東が勢いに乗っている。9月中旬のANAオープンで優勝し、続くアジアパシフィック・パナソニックオープンでは、谷原秀人に1打差の2位に入った。賞金ランキングでは谷原、片山晋呉に次ぐ3位につけている(10月6日現在)。

 矢野は、身体能力とゴルフセンスに恵まれながら、ANAオープンの優勝が3年ぶりで、通算2勝目だった。「イケメンプロ」と呼ばれたり、耳にピアスをしたりと、ついつい軽さを取りざたされるが、実はかなりの熱血漢だ。その熱い心が、逆にトーナメントでは墓穴を掘ることがしばしばある。

 今年のシーズン直前、矢野と対談する機会があった。彼に対する大きな期待があったので、かなり厳しいことを言った。年間3勝以上できる技量がありながら勝てないというのは、自分の可能性を自ら閉ざしているからだ。「宝の持ち腐れだ」とも言った。

 「何が足りないんですかね?」

 彼は、真顔で聞き返した。僕は、ひとこと「心の幅が狭い」と言ってしまった。彼は、ショットやパッティングでミスをすると、自分に腹を立てる。自分の技量で可能なことなのに、できなかった自分が許せないというのだ。

 ありのままの自分を認知し、その中で、ミスもナイスショットも受け入れてゲームができあがる。心の幅……ミスしたとき、あるいは外的なことで大きく動揺せずに、心にショックを吸収する幅を持てばいいといった。

 彼は「今年は勝ちを意識し、勝ちにいくゴルフをしたい」と言った。

 そんな矢野が、好成績を残している。それは、自分の可能性を米ツアー挑戦まで見据えているからでもあるし、今季から同じ用具メーカーに、1歳年下の谷原が移籍してきたことも刺激になっているだろう。

 谷原は、今季の目標が賞金王と言い切っている。その谷原に触発されて、矢野はいい意味で追い詰められ、逆にゲームでは集中力が切れずに、心の幅を保つゴルフができてきている。

 男子ツアーは、9月後半から賞金総額2億円という大会が、11月下旬までに9試合中6試合ある。矢野の真価が問われるのは、この2カ月の攻防である。

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