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相撲界変革のため、現役力士が出来ること。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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posted2008/03/13 00:00

 昨年秋の問題発覚以来、いつかはこの日が来るのではないかと恐れていたが……。

 2月7日、時津風部屋の力士急死事件に絡み、元時津風親方と現役力士3人が逮捕された。プロ・アマを問わず、相撲界に起こった史上空前の不祥事。事の真相はこれから明白となっていくだろうが、相撲界には、今、大きな変革が求められている。

 日本相撲協会では、外部の有識者5人を加えた「再発防止検討委員会」を設置するなどの対策を開始したが、まだまだ不十分。8日には、文部科学省の松浪副大臣が外部からの理事起用を求めた。今の理事制度が出来て以来40年、元力士が最高幹部を占めてきたことに、監督官庁がついに「物言い」をつけたのだ。親方衆が最善策を暗中模索する中、現役の力士たちがすべきことは何なのか。

 朝青龍復帰に伴い、久々に盛り上がりを見せた大相撲。この炎を絶やさぬためには、土俵内容の充実しか考えられない。初場所千秋楽結びの手に汗握る力相撲に、相撲の醍醐味を再認識したファンも多いはず。攻防ある相撲を取ることこそ、現役力士が出来る唯一の変革である。最近の相撲の中で、私が気になるのが、「張り差し」の乱用である。

 「張り差し」とは、立合いの戦法で、四つ相撲力士が、主に突き押し相撲力士を止めるために用いるものである。正々堂々真正面から当たってくる相手の横っ面を張り、勢いを殺ぐ。しかし、これは一種の奇襲戦法である。力士の凄さの象徴である「立合いの激突」を見守るファンの期待を裏切る行為に他ならない。

 力士たちは、日々稽古場で、激しくぶつかりあい、正攻法の相撲を繰り返す。立合いの変化技には、即座に親方の雷が落ちる。力士は、稽古を積み重ねたもので勝ってこそ、ファンの賞賛の拍手に値すると私は考える。

 ある親方が言った。「張り差しは、10年くらい横綱を務めた力士のみが許される」。横綱の責務を果たすため、体力の衰えを補う最終手段の戦法としてなら理解も出来るが、日本人外国人を問わず、力を誇る横綱はもちろん、上を目指す若手力士が安易に使うのは大問題である。

 春場所は、相撲道に恥じない本筋の、火花散る立合いを見せてもらいたい。

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