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ルーキー・高橋裕紀は
実戦の場で何を掴む? 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2005/03/03 00:00

ルーキー・高橋裕紀は実戦の場で何を掴む?<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 若手育成を目標に、ホンダが実施している「ホンダ・レーシング・スカラーシップ」第2期生として、今季、WGP250ccクラスに高橋裕紀(20)が参戦する。高橋は昨年の全日本GP250チャンピオン。スポット参戦した一昨年の日本GPでは3位表彰台に立っている。イタリアの「チーム・スコット」に所属し、開幕に向けて、すでにスペインのヘレス、バレンシアでテストをこなした。彼はレースを始めたころからブリヂストン(BS)ユーザーだったが、WGPではダンロップ(DL)に変わる。この2回のテストの目的はタイヤの特性の違いに慣れること。そして、素晴らしいグリップを誇る日本のサーキットから、ヨーロッパの荒れた路面を初めて経験し、戸惑いを見せた。

 「BSはフロントタイヤのグリップがいいので、フロントの旋回性に頼る走りになっていた。いまは、タイヤとサーキットの違いもあって、自然と乗り方が変わっていく。マシンは全日本時代と基本的に同じだが、GP用はパワーがある。いまは、どこへ行っても、自分の走りとマシンのベースを見つけることが重要になっています」

 彼のコメントを聞いていると、初めて尽くしのテストで、いろんなことを吸収しているのだと感じる。全日本時代は、コーナーのイン側に深く身体を入れた独特のフォーム。ギリギリまでブレーキングを遅らせ、コーナーリングスピードを高めてタイムを短縮するという、コースを熟知している選手たちの典型的な攻め方だった。しかし、マシンやタイヤが刻々と性能を上げ、一国一戦が基本となっているWGPでは、それだけでは通用しない。ハードのポテンシャルを生かし、スローイン・ファストアウトの鉄則が、WGPでは高いレベルで求められるからだ。

 いま、全日本選手権にワークスチームは存在せず、日本人全盛時代を築き上げた'90年代のように、国内で世界に通用する選手を育てる場がなくなった。ホンダのスカラーシップは、バイク作りを含め、海外で腕を磨く場を提供、いろんなことを学ばせる。高橋のように、速さはあるが経験不足で粗削りな選手は、それだけに吸収も早い。全日本でチャンピオンを獲得したときに、「日本ではもう学ぶものがない」と語った高橋。彼にとって今年は、その言葉を証明するシーズンでもある。

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