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歯止めがかからない地方競馬の衰退。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

posted2004/10/21 00:00

 オグリキャップと安藤勝己騎手を輩出した笠松競馬が、いま存亡の危機に瀕しているという。同競馬は、岐阜県と笠松町、岐南市が共同で開催権を所有して運営しており、地方の貴重な財源の屋台骨を支えていた時代も決して短くはなかった。しかし折からの不況下で単年度の赤字決算を何年か続けてしまったことで、とたんに悪者扱いの憂き目にあっているというわけだ。

 黒字を生み出していた時代にもギャンブル全般を苦々しい視線で見つめていた人たちは少なからずいたわけで、彼らに言わせれば競馬という存在は当時から「必要悪」。認めたくはないけれど、それによって地方が潤うのなら仕方がないという消極的な認定だったことを、いまになって気づかされた競馬関係者たち。「税金で補填してまで競馬を存続させる必要がどこにあるか」という声の大きさに、ただ驚いているのである。

 笠松競馬が廃止となれば、騎手、調教師、厩務員は一部を除いて廃業を余儀なくされるし、場内で働く従業員、場内の食堂を経営している人、あるいは競馬場周辺の飲食店関係者も大きな影響を被る。こういう問題が起きたときにはいつも「再雇用促進に必要な財源は投入する」と地方自治体側はお約束のように言うのだが、計算通りに行った例はない。決して小さくはない地場産業が突然ぽっかりとなくなってしまうのに、政策の力を振るってみたところでそれに代わるものが一朝一夕に立ち上がるはずがないではないか。

 このままでは地方競馬は櫛の歯が欠けるように消滅して行ってしまう。安泰と言えるのは、首都圏という地の利に、ナイター開催、3連単の先行導入という企画が当たった大井競馬ぐらいのものなのではないか。当事者はもちろんのこと、自動的に生産過剰状態に追い込まれている牧場の関係者たちも、さらなる不況感に恐れおののいていると思われる。

 郵政民営化を改革の旗印としている政府に届かぬ願いを一つだけ。現在、地方自治体以外に開催権を認めてはいない地方競馬だが、そこに民間の参入を許してほしいのだ。たったそれだけで救える競馬場は少なくない。国がその気にさえなってくれたら、プロ野球への新規参入に手を上げた人たちのような、斬新なアイディアを持った民間企業が地方競馬の再活性化を実現してくれるのは間違いない。

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