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ハイレベルなレースが予想される秋競馬。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byYoshihiro Fujioka

posted2004/09/22 00:00

ハイレベルなレースが予想される秋競馬。<Number Web> photograph by Yoshihiro Fujioka

 現役の古馬チャンピオンは、宝塚記念を圧勝したタップダンスシチー(栗東・佐々木晶三厩舎、牡7歳)だ。頂点を極めた馬が若いうちに種牡馬に転向してしまう傾向は世界的なものとして定着しているが、晩成の典型とも言えるこの馬はまだまだ現役続行。この秋は凱旋門賞(10月3日、仏ロンシャン競馬場、芝2400m、G?)挑戦で遅咲きの世界デビューを果たし、帰国した後も「チャンピオンでいられる限り、走り続けるのが最善の選択と思います」と、佐々木師が力強く宣言している。

 ハイレベルの3歳世代の中で、ベストオブベストとも言える強い競馬を見せたのがキングカメハメハ(栗東・松田国英厩舎、牡3歳)だ。デビューして2、3戦はさほどとは思わせなかったのに、経験を積むごとに著しい進化を遂げ、NHKマイルCとダービーをともに文字通りの圧勝で締めくくったのだから文句なしの世代チャンプである。距離が全く違うG?を中2週で使い、どちらも好時計(ダービーはレコードだった)で走破。その反動は当然出るはずという懸念があったわけだが、すでに栗東に帰ってきて元気一杯の姿。よほど強靭な心臓に恵まれたようで、同じローテーションで使われて早期のリタイアを余儀なくされたクロフネ、タニノギムレットの両先輩の轍を、この馬だけはどうやら踏まずにすみそうな形勢だ。

 「種牡馬としての価値をさらに高めたい」(松田国師)キングカメハメハの秋の目標は、菊花賞ではなく、2000mの天皇賞だという。長距離のG?を勝つことの、種牡馬になったときの意味が年々薄まっている現状では仕方のないところで、カメハメハ陣営もそのあたりを視野に入れているのは間違いない。順当ならジャパンカップあたりでタップダンスシチーとの新旧対決が実現するはずで、その結果によってはどちらかの引退が早まる可能性も出てきた。強い馬が走るところをできるだけ長く見たいファンの気持ちからすれば、ちょっと複雑なところではある。

 付け足しのようで申し訳ないが、小倉競馬の終盤戦の落馬事故で意識不明が続いている常石勝義騎手について。面会を許されたごく親しい関係者の話を聞くと、なんとか回復可能な様子という。脳挫傷から2度立ち直った奇跡の男、を見せてもらいたいと切に願う。

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