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「本物」という新機軸。ボクシング復興はなるか。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2008/01/31 00:00

 「亀田騒動」の台風一過、ボクシング界は復興に向けて動き出している。

 今年に入り最初の世界タイトル戦となった1月10日大阪のバンタム級ダブルタイトルマッチでは、WBC王者長谷川穂積が1位挑戦者マルドロットを3―0判定で撃退。同じくWBA王者シドレンコに挑んだ池原信遂は健闘及ばず判定負け。4日後(14日)横浜のWBA世界S・フライ級戦では、川嶋勝重が王者ムニョスと接戦を演じるも判定負けし、試合直後のリング上で引退表明した。

 3つの世界戦はいずれも判定勝負、しかもノックダウン・シーンひとつなかったが、内容的にはいずれも面白い試合だった。大阪の試合のテレビ視聴率は12.7パーセント(関東地区の平均)。亀田戦に敵わなかったという評価もあるかもしれないが、一連の亀田戦の視聴率も、アンチのファン分を差し引けば、こんな数字に落ち着くのではないか。

 大阪のダブルタイトル戦を放映するにあたり日本テレビは、「TheREAL(本物)」というキャッチフレーズを掲げ、「脚色を排し、試合という素材の面白さをそのまま出して楽しんでもらう」(関係者)という新機軸を打ち出した。また14日横浜の世界S・フライ級戦でも、放映したテレビ東京は「本物」を強調している。どうやらこれが巻き返しへのキーワードとなりそうである。

 近年の格闘技ブーム(?)の影響から「ボクシングももっとショーアップすべき」という声が上がり、それがエスカレートしたのが亀田戦番組だった。が、テレビの演出が過ぎると、試合そのものまで演出があるのではと勘繰られてしまう。それらに対する反省、リアクションが、今回の「本物」志向だと信じたい。

 日本プロボクシング協会はこの1年、女子プロボクシングの解禁をはじめ、いくつかの新方策を打ち出したが、亀田騒動に埋没し、問題は山積したままだ。中でもほとんどのジムが直面している練習生の減少問題は深刻。正月早々、世界戦を再三手がけた名古屋の天熊丸木ジムが退会届を出して驚かせたが、全国約270の協会加盟ジムの中からは、さらに活動停止に追い込まれるジムが出てきそうだ。といってボクシング人気復活の即効薬はない。ここは地道に「本物」を見せていくしかあるまい。

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