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予想を覆す圧勝劇。本山哲にニッポンは狭い。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2005/12/08 00:00

 もはやご存じの方も多いとは思うが、本年度の全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのシリーズチャンピオンは、最終戦を残してすでに本山哲のものに決まった。一昨年チャンピオンとなった勢いに乗って自力でのF1進出を狙ったが資金不足、時間不足で断念したことはご存じの通り。夢破れた本山は一転して再び国内に目標を定めたものの、一旦新天地を目指した男が果たして従来と同じレースに対して十分な闘争心を持ち続けることができるのかどうか内心で心配した。だがそれは杞憂だった。本山は前にも増した闘争心を見せつけた。さらに今年は体制を整え直し、実に本山らしい「強いレース」を展開し、自身4回目の国内トップフォーミュラ・シリーズチャンピオンの座を獲得してしまったのだ。

 今年、彼のライバルは同じチームに所属する後輩、井出有治であり、昨年のチャンピオンであるリチャード・ライアンであった。だが彼はどちらにもまったくスキを見せず圧倒しきった。その過程で、本山はチームに対しても場合によってはケンカごしと見られてもおかしくないほどに厳しい態度で接した。すべては勝つため、自分の弱みをすべて潰してレースに臨む、王者の闘いぶりであった。

 その本山を眺めていた同業者は、国内にはもう本山のやることは残っていないのになあ、とつぶやいた。だからといって昨今のF1に自力で進出するには、かなりの持参金が必要で、それでも下位チームの「ビジネスシート」が手に入るかどうか。今の本山が不毛な挑戦を繰り返すとは思えない。

 幸いにして、国内トップフォーミュラであるF・ニッポンは来季、新シャシーを導入するとともにエンジンをトヨタとホンダの元IRL用V8へと切り替える。その結果、F・ニッポンの車両はより速くなるだろう。本山は言っていた。

 「今のF・ニッポンは遅すぎる。F3にちょっと毛が生えたくらいなので、F3上がりの選手でも簡単に乗りこなせる。トップフォーミュラというからには、もっと高いレベルで戦うべきだ」

 その本山の望みが実現する。そして我々は新しい課題に挑戦する本山の姿を眺めることができる。より高いレベルで彼が国内ファンに見せつけたかったものを見せる、よい機会であり、実に楽しみだ。

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