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期待の18歳が切り拓く、日本人プロの生きる道。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2006/11/09 00:00

期待の18歳が切り拓く、日本人プロの生きる道。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 4大大会ジュニアと同等クラスの大阪市長杯世界スーパージュニアで、杉田祐一が日本男子として12年ぶりの優勝を手にした。決勝では、第12シードのヘリオバーラ(フィンランド)に、第1セットを失ってから一気に逆転勝ち。フォアハンドの強打を武器に激しいストロークで攻め続けるプレーは、今年、見事に開花した。昨年の高校総体で優勝すると、今年はジュニアレベルでは敵なしで、全日本ジュニア18歳以下では1セットも落とすことなく完勝した。一般でも、ツアー下部大会のフューチャーズで3大会に決勝進出。その内、9月の大阪国際で、2度の全日本選手権優勝を誇る寺地貴弘らを破り、国際公式戦初優勝を遂げた。世界ランキングも、年頭の1497位から、最新(10月23日現在)では529位まで急上昇している。

 低迷する日本男子の中にあって、米国在住の16歳、錦織圭と並び、杉田は希望の星だ。10月にはプロに転向し、今年でジュニアを卒業する。と同時に、来年4月からはトップアスリート入試の合格者として、早大に進学予定だ。プロになると、全日本学生テニス連盟の規約で、一切の学生の試合に出場することができない。ならばわざわざ大学に進学する意味がないのではないか。その疑問に杉田は「早稲田は練習環境の設備が整い、練習相手も多い。それを利用したい」と答えた。

 プロになると、ナショナルテニスセンターがない日本では、練習場所を見つけるのにひと苦労する。民間のテニスクラブに頭を下げ、会員の方が楽しむ合間を縫って、引け目を感じながら練習しなくてはならない。これが、国内の現状だ。

 しかし学生プロなら、学生の試合に出られないだけで、大学さえ了承すればテニス部に所属し、その施設を使うことは自由である。それは、日本男子のプロ選手にとって新たな道の1つかもしれない。

 杉田は、現在、国内のランキングでは外国籍の協会登録選手を除けば、7位に位置する。11月のプロ初戦となる全日本テニス選手権では、一気に優勝候補に名乗りを上げた。もし高校生として優勝すれば、'89年谷沢英彦以来17年ぶりの快挙となる。「もちろん狙っています」。歴戦の先輩に臆することもなく、優勝を宣言する度胸も満点だ。そろそろ日本男子の若手の活躍も見てみたいものだ。

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