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新横綱の誕生と、若手に期待の夏場所。 

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服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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posted2007/05/17 00:00

 3年半、22場所連続の1人横綱。東と西がある大相撲の番付どおり、本場所でもそれぞれの支度部屋が設けられているが、西の支度部屋には横綱の姿がずっと無い。この異常事態に終止符を打たんと、大関白鵬が夏場所、3度目の綱獲りに挑む。昨年名古屋場所の初挑戦では、朝青龍を破り13勝(準優勝)をあげながら、昇進見送り。翌場所に持ち越された2度目の挑戦は、見送りのショックを払拭出来ず自滅した。その後も足の指を負傷するなど精彩を欠く場所が続いたが、先場所、決定戦で朝青龍を下して2度目の優勝。決定戦でようやく変化、という内容には猛省を促したいが、やっと「らしさ」が復活した。順風満帆の相撲人生で、初めて味わったであろう試練の半年間。心技体全てにおいて、この間どれだけ成長したかが今場所試される。新横綱待望論に後押しされ、昇進の目安は甘くなりそうだが、初挑戦の二の舞だけは避けたいはず。連続優勝での文句なしの横綱昇進を目指して欲しい。

 その白鵬も侮れない相手に急成長したのが豊真将だ。かつて角界の鉄人の異名を取った元関脇寺尾の錣山部屋の“米びつ”が、前頭筆頭に躍進した。師匠譲りで土俵上の所作も礼儀正しく、真面目で素直な性格。どちらかといえば大人しいイメージだった豊真将が、先場所後半、大変身した。強靭な足腰を武器にした「守り」の相撲から「攻め」の相撲へ。これまでの、相手の攻撃を低い姿勢で耐え忍び、一瞬の勝機を見つけて逆転するという相撲から一転したのだ。先場所10日目の琴欧洲戦、13日目の琴光喜戦と、2人の実力者に対し、立合いから怒涛の攻撃を見せた。長身の琴欧洲を左からの強烈なおっつけで浮き上がらせ押し出し。琴光喜も立つと同時に左上手、右はずで一気に寄り切り。自らの武器を最大限に活かせる正攻法の取り口での完勝劇。師匠と共に二人三脚で探し求めてきた理想の型が、にわかに現実化してきた。「静」のイメージに荒々しい「剛」のイメージを加味した豊真将。玄人好みの地味な取り口が災いしてか、これまで日本人若手のホープとして大きく取り上げられなかったが、一躍注目度が上がった。

 4月21日には錣山部屋の部屋開きが盛大に行われ、今場所は門出の場所。部屋頭の大暴れを期待したい。

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