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“型”を作って綱とり白鵬の強さは盤石。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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photograph byJMPA

posted2007/06/14 00:00

“型”を作って綱とり白鵬の強さは盤石。<Number Web> photograph by JMPA

 中日を終えて横綱朝青龍、大関白鵬ら4人が全勝、1敗で大関琴欧洲、魁皇、千代大海ら5人が追いかけるという、近年稀に見る激戦の展開。

 夏場所最大の話題、「白鵬の綱とり」を阻止せんと張り巡らされた包囲網。重圧の中、白鵬はその網をどんな形で1枚1枚破っていくのか……。終盤戦は、劇的な幕切れが期待されたが、残念ながら尻すぼみに終わった。白鵬との直接対決を前に、包囲網のほうが次々に自滅したのだ。終わってみれば初の全勝優勝を果たした白鵬と、他の横綱・大関陣との星の差は、なんと5以上。2場所連続優勝、そして綱とりを実現させた白鵬の強さは確かに際だっていたが、先輩上位陣にはもう少し意地を見せて欲しかった。

 千秋楽恒例の優勝力士へのインタビューで、前日に優勝を決めていた白鵬は横綱昇進を確信していたのだろう。正式な昇進は、場所後の30日に開かれる相撲協会の名古屋場所番付編成会議および理事会で決定されるのだが、「横綱の名に恥じぬように」という発言が飛び出した。新横綱の見せ場、伝達式での口上の勇み足。この時点では大関だったわけだが、若者らしい勢いと意気込みのこもった、堂々とした決意表明だった。

 1年前、2度にわたって綱とりを失敗した。目指していたのは、低い立合いからの左上手、右四つの速攻相撲。千代の富士を彷彿させる超攻撃的な型は完成せず、白鵬はこの1年間試行錯誤を繰り返した。この間の苦悩が、今場所の後半でようやく結晶した。

 魁皇戦や琴光喜戦で見せた、右下手からの高度な連続技。右手首を反時計回りにひっくり返し、相手の左半身を浮かせて崩す。と同時に左肘を締めながら、最短距離で左上手を取って引きつけ、磐石の腰で寄り切る。立合いの左上手に固執することなく、流れの中で自分の型を作り上げる。そのため、立合いは相手によって突き、かちあげ、体当たり、張り差しと多種多様となる。力みが消え、柔と剛を併せ持った、スケールの大きな白鵬の相撲の原型が完成した。千代大海は「ちょっと貴乃花さんに似てきた」と言ったが、確かにこの攻め方には貴乃花の横綱相撲が垣間見える。

 横綱にふさわしい型を作り、文句ない成績での昇進。白鵬の前途は洋々である。

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