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Wソックスの投手陣を支える巨漢クローザー。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2006/08/03 00:00

Wソックスの投手陣を支える巨漢クローザー。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「自分自身の中で、昨年と変わったことなんて何ひとつない。強いていえば、街を歩いていて見知らぬ人から『ボビー・ジェンクスだ』って言われるようになったことかな」と、身長191cm、126kg、ホワイトソックスの巨漢クローザーは不似合いな小さな声で言う。

 昨年7月6日にメジャーデビュー、前任のダスティン・ハーマンソンの故障でチャンスをつかみ、9月には新クローザーとして大活躍、ワールドシリーズでは “胴上げ投手”にもなった。'04年オフには、エンゼルスのマイナーチームから解雇されていただけに、昨年はまさにシンデレラボーイと呼ぶにふさわしいシーズンとなった。

 「2年目のジンクスなんて気にしない。自分のピッチングを心がけ、思い切りボールを投げ込むだけ」

 最速99マイルの剛速球を武器に、7月17日現在、2勝1敗26セーブ、防御率3・19と守護神として、申し分のない成績をマークし、先のオールスターゲームにも初出場を果たした。

 しかし、この頑張りがあっても、ディフェンディングチャンピオンはなかなかタイガースを抜いてトップに立つことができない。昨年と違って、ジェンクス以外のブルペンに安定性が欠けていることもひとつの理由だ。

 「ゲーム差がさして離れているわけではないので心配はしていないよ。大事なことは、相手に惑わされずに、自分たちのチームらしい試合をすることなんだ」

 口調は相変わらず頼りなげな印象を与えるが、その内容はすでにチームの重要な役割を担う選手としての自覚が感じられる。

 ニューヨークからデトロイトに移動する日。ホワイトソックスのクラブハウスには高級ブランドバッグがズラリと並ぶ。しかし、ジェンクスのロッカーに置いてあるバッグは、それらとはおよそ程遠い大衆向けのもの。「変わっていない」というのは、その辺にも見て取れる。

 「1年目に選手としてのゴールに達し、2年目にはオールスターの一員になったけれど、モチベーションが下がることなんて全くないよ。だって、オレって、野球が大好きだから」と、25歳のクローザーは相変わらず小さな声ながらも、きっぱりと言った。

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