NumberEYESBACK NUMBER

“死のグループB”!?勝ち抜く見込みは? 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2008/05/15 00:00

“死のグループB”!?勝ち抜く見込みは?<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

 北京五輪へ向け各競技で代表選考が花盛りだが、サッカーではメンバー発表を前に、本大会での組み合わせが決定した。B組の日本が1次リーグで対戦するのは、アメリカ、ナイジェリア、オランダ。それがいかに厳しいグループであるかは、北京世代(23歳以下)が、まだU−20代表だった3年前を指標にしてみると、よく分かる。

 ワールドユース選手権(現U−20ワールドカップ)に出場した日本は、1次リーグでオランダと対戦。ケタ違いの個人能力を見せつけられ、1対2で敗れている。

 そのオランダを準々決勝で下したのが、ナイジェリア。そのナイジェリアは決勝でアルゼンチンに敗れるのだが、優勝したアルゼンチンに、この大会で唯一土をつけたのが、1次リーグで対戦したアメリカというわけである。

 実際の序列は、これほど単純ではないが、ロンドンあたりのブックメーカーに予想を頼めば、日本のグループ最下位が順当な結果だろう。

 U−23代表監督の反町康治も言っているように、「この世代では、アルゼンチン、オランダが世界最強」。ナイジェリア、ブラジル、イタリアあたりが、2強に迫る勢力となる。ナイジェリアは高い身体能力ばかりが注目されるが、3年前の大会を見る限り、組織的にも驚くほど洗練され、総合力で高いレベルにある。

 首尾よく、ここを突破できたとしても、準々決勝で待ち受けるのは、A組からの勝ち上がり。つまり、2位通過なら、予想される相手はアルゼンチンなのだ。日本のメダル獲得作戦は、各大陸の最強国に完全に包囲されてしまった。

 ただし、この力関係が、そのまま北京に持ち込まれるわけではない。

 まず、地理的な条件は、確実に日本に味方する。北京までの移動距離は短く、時差もわずかに1時間。そのメリットは、多くの国が競技を問わず、五輪直前に日本で最終調整を行うことからも見て取れる。

 また、例年並みの日程なら、ヨーロッパの主要国では、北京五輪期間中にリーグ戦が開幕する。しかも、大気汚染や酷暑など、健康面での悪影響も情報として伝わっているだろう。優れた選手ほど、クラブが供出に難色を示す、あるいは、本人が出場を望まない可能性は十分にある。

 実際、3年前にはU−20ナイジェリア代表の主力として活躍したミケル(チェルシー)も、五輪予選への招集はすべて断ったという。本番で招集に応じるとは考えにくい。

 こうした現象は、ヨーロッパでプレーする他大陸の選手を含め、とりわけヨーロッパ勢に顕著だ。その結果、シドニーやアテネなど、過去の五輪を振り返っても、五輪予選を兼ねたU−21ヨーロッパ選手権では、すばらしいサッカーを展開しながら、本大会ではあっけなく姿を消す。そんな例が少なくない。もちろん、サッカーにおける五輪という大会の微妙な位置づけが、選手のモチベーションに大きく影響しているからでもあろう。

 もしB組4カ国の持つ最大能力が、そのまま結果に反映されてしまうなら、日本の勝ち上がりは絶望的だと断じても構わない。

 しかし、恐らくそうはならない。諸々の要件によって、実際の力の差は確実に縮まる。問題は、その程度。日本の1次リーグ突破を可能にするほどなのかどうか。

 ひとまずは、各国の登録メンバーが出揃うのを待とう。絶望視するのは、それからでも遅くはない。

関連キーワード
北京五輪
五輪男子サッカー

ページトップ