SCORE CARDBACK NUMBER

「日本オリジナル」を、代表監督に求めるな。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2008/04/17 00:00

「日本オリジナル」を、代表監督に求めるな。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 各国のサッカースタイルについて、面白い意見を聞く機会があった。オランダのフィテッセでU―12の監督、U―17のコーチを務める林雅人という方がいる。オランダ協会の講習で戦術を叩き込まれた指導者界の海外組だ。

 「各国のリーグには、それぞれのスタイルが存在する」ということを、林さんは講習で学んだという。

 たとえばイタリア。

 DFがゴール前を固め、ボールを奪ったらパッサータイプのMFにボールを渡し、そこから一気に前線に正確なパス。最後はカウンターに長けたFWがゴールを決める、というものだ。

 これを実現するためには条件がある。DFラインが低いので、ひとつのミスが即失点につながる。1対1に強いパーフェクトなDFが必要だ。中盤にピルロのようなパス供給者、前線にカウンターで独走するトニのようなFWも必須。ACミランもインテルも、細かい差こそあれ、このスタイルは共通しており、それがイタリア代表の形になっている。

 イングランドは、キック&ラッシュの進化形と言えるものだ。

 なるべく相手陣地でサッカーをすることを目指し、ゴール前の攻撃にエネルギーを注ぎ込む。ボールはシンプルに前線へ、そしてゴール前でパワフルにダイナミカルに。「世界で一番ゴールダイジェストがおもしろいのは、プレミアリーグです」と林さんは言う。

 では、日本はどうだろうか。

 残念ながら共通のスタイルはまだない。代表監督が部品を集めて、さあどんな説明書がいいか、と考えているのが現状だ。説明書があって、それに合う部品を作る、ということを世界の強豪はやっているというのに。

 オリジナルのスタイルなど、いくら考えても短期間でひねり出せるものではない。各クラブが日本一になるために試行錯誤し、そのやり方の中で結果を出したものが真似され、最終的に「日本流」になるのだろう。

 育成段階から共通のコンセプトがなければ、国のスタイルなど生まれない。現段階ではバラバラの人材がいるなかで、いかにパズルを組み合わせるかを追求すべきだ。日本オリジナルを代表監督に求めても、それは足かせにしかならない。

ページトップ