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キリンカップサッカー2008 VS.コートジボワール 

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木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byNaoya Sanuki

posted2008/05/29 00:00

キリンカップサッカー2008 VS.コートジボワール<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 「不甲斐ない試合をしてしまった」と、岡田武史日本代表監督が嘆いたワールドカップ(W杯)予選バーレーン戦から約2カ月。5月24日のキリンカップのコートジボワール戦で、先発メンバー7人を入れ替え、欧州でプレーするMF松井大輔、MF長谷部誠を起用して臨んだ日本は、FW玉田圭司のゴールで1−0の勝利を収めた。

 日本がやろうとするサッカーを試すには、システムもプレースタイルもピッタリとあてはまる相手だった。それだけに、この試合での選手の対応に注視していた岡田監督だったが、肝心の相手は、FWディディエル・ドログバら主力を数人欠き、なおかつ、パラグアイ戦から中1日という状況で疲労を隠せない。2日前の試合で見せていた、アフリカ勢らしいパワーもスピードも、シンプルでテンポのよい欧州タイプのプレーも、大幅にスケールダウンし、まるで別人という状態だった。

 それでも、日本が新しい顔ぶれを交えたメンバー構成で臨み、合宿で取り組んできたことをある程度は試合に反映させられたのは収穫だった。特に、3月26日のバーレーン戦で生じた負のイメージを、修正するきっかけにはなったのではないだろうか。

 「攻撃のための積極的な守備」(岡田監督)をテーマの一つに取り組んできた日本は、FW大久保嘉人や松井、長谷部、MF今野泰幸らが、要所で相手にプレッシャーをかけてボールを追い、マイボールにする。

 また、DF長友佑都が代表デビュー戦とは思えないような、思い切りのよい攻め上がりを左サイドで見せて、対面のMFエマニュエル・エブエを上がらせない。その積極性で、立ち上がり6分には、大久保にクロスを送り込んで最初のチャンスを演出。その後も、アーセナルMFとの競り合いに動ぜず、チームの攻撃の糸口を作った。

 しかし全体的には、「初めてやる選手もいたので、連携をとるのに苦労した」と松井が振り返ったように、選手同士がお互いの出方をまだ十分に理解しきれていないせいか、どこかギクシャクとした部分があるのも否めなかった。「シンプルにボールを動かして、逆サイドを突く」という岡田監督の狙いが実践できたのは、半分ぐらいか。

 それでも、歯車が噛み合えば、決勝点となった前半21分のようなゴールを流れの中から生み出せる。

 相手の前線へのフィードを最終ラインでカットしたDF駒野友一から松井、今野とつなぐと、この日、代表チームでは初めて本職のボランチでプレーしたFC東京のMFは、右サイドの長谷部へ絶妙なフィードを出した。

 ドイツのヴォルフスブルグで右サイドを務め、クロスの練習も増えたという長谷部が、攻め上がって精度の高いクロスを送り込むと、大久保が相手DF2人を道連れにニアに走りこむ。ボールはその頭上を越えて、がら空きになったファーサイドのスペースに滑り込んだ玉田のもとへ。名古屋FWは左足で合わせ、2006年ワールドカップのブラジル戦以来となる代表ゴールを決めた。

 この2年間、柏から名古屋へ移籍し、ケガに悩まされ、先発を外れる苦悩の日々も経験した玉田だったが、ゴールハンターとしての嗅覚と技術は健在。決定力が問われる闘いを前に、彼の復調は朗報だろう。

 だが、後半途中からは全体の動きも落ちてしまい、相手につけ入るきっかけを与えて、押し込まれる場面もあった。

 動けばリズムもチャンスもゴールも生まれるが、動けなくなれば後手に回るしかない。サッカーでは当たり前のことだが、その当たり前が重要であり、チーム浮上の鍵を握ることを、この日の試合は改めて示していたと言える。

 「選手はやろうとしていることに攻守両面で積極的にトライしてくれた」と、岡田監督はこの日のチームのパフォーマンスを振り返り、初めて起用した松井、長谷部、長友らのプレーを「予想以上」と評価した。だが、一方で、ディフェンスからのフィードや、シンプルにプレーするためのサポートを、課題としてあげるのを忘れなかった。

 6月2日にホームで、7日にアウェイで迎えるW杯予選オマーン戦を前に、次は27日にパラグアイと対戦する。中2日で攻守にそつのないプレーを見せる南米の強豪との試合で、なにを実践し、確認することができるのか。有効に使いたい。

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