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ラグビーW杯出場メンバー36名が示す“狙い”。 

text by

村上晃一

村上晃一Koichi Murakami

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posted2007/08/09 00:00

 ラグビーワールドカップ(W杯)開幕まで1カ月余り。「過去最高の成績」を目標にカーワン・ジャパンの強化は最終局面を迎えている。

 7月23日、日本ラグビー協会大会議室において、W杯出場メンバー36名が発表された。大会登録人数は30名だが、6名は負傷者が出た場合などのバックアップメンバーとして帯同する。負傷者の回復具合などを待つため、30名の絞り込みは、8月10日の壮行試合後に行われる予定だ(登録締め切りは、8月14日)。

 「非常に難しい判断でした」と前置きした上で、ジョン・カーワンヘッドコーチ(HC)は、一気にメンバーを読み上げた。

 「選考基準は大きく分けて2つあります。1つは、我々が目指すジャパニーズ・スタイルに合う選手、2つめは、今回のW杯日程では1試合目と2試合目の間隔が中3日と短く、2チームを編成する必要があります。この構想に合う選手です」

 サプライズはなかった。2大会連続のキャプテン箕内拓郎はじめ、大半は現ジャパンのゲームプランが浸透した選手たち。春のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)出場組だ。PNCメンバー外では、ルアタンギ・侍バツベイ、ナタニエラ・オトが復帰した他、怪我で離脱していた大畑大介、フィリップ・オライリー、ジェームス・アレジも選出された。大畑、オライリーについては、8月10日のアジア・バーバリアンズとの壮行試合への出場を目指すが、5月に左足スネを骨折したアレジは、ようやく歩くことが出来る程度。それでも正確無比のプレースキックやパスワークなど、SOとしての能力は図抜けており、バックアップに入れても最後の最後までリハビリを続けさせる意向だ。

 顔ぶれは概ねカーワンHCが4月の本格強化スタート時点に思い描いていたメンバー編成に落ち着いている。日本選手の巧緻性を生かし、世界一激しく、低く、素速いジャパニーズ・スタイルを標榜するカーワン・ジャパンだが、その戦い方は極めて現実的だ。素速く前に出るディフェンスで徹底的にプレッシャーをかけ、原則的にキックを使って敵陣で戦い、機を見てスペースにボールを動かしてスコアする。

 つまり、粘り強く相手の特徴を消す戦い。W杯一次リーグ同組の4チームがすべて格上であることを考慮し、どんな相手とも僅差勝負に持ち込む戦術を磨いている。前提となるディフェンス能力に選手選考の重きが置かれているのも明らかだ。

 骨惜しみせずにタックルし続けるオトの復帰はその象徴だろう。しかも、カーワンHCは本来WTBのオトを「インサイドCTBとして起用したい」と説明した。現代ラグビーのBKでは、インサイドCTBのタックル回数が最も多く、フィジカル的な強さが求められる。オトがいればPNCで孤軍奮闘していたCTB大西将太郎の負担も減り、2チーム構想もやりやすくなるわけだ。技巧派より肉体派の選手が多く、コンタクトスポーツであるラグビーは少しでも弱みを見せれば負ける、というカーワンHCの哲学が垣間見える。

 最大の課題である得点力不足は、二次攻撃以降のボール出しを早める工夫をこらしている最中だ。世界一流のトライゲッター大畑大介、突破力抜群の侍バツベイ復帰は好材料。「過去最高の成績」とは2勝以上を指す。メンバーは固まった。勝利を確かなものにするため、どんな相手からもスコアできるトライパターンの確立を急ぎたい。

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