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4年生FWの奮闘で早稲田が覇権奪回へ。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2007/07/26 00:00

 38対0である。

 大学ラグビー『春の早関戦』。過去6年間、この試合の勝者が大学選手権で優勝を飾っているという本番を占う決戦。今季は7月1日に横浜・三ツ沢で行われ、早稲田が大差で関東学院を退けた。

 勝因はスクラムだ。開始4分、関東ボールを早稲田エイトがグイと押し込んでターンオーバーしたのを号令に、14分にはスクラムでの関東の反則から速攻に出てNo.8豊田将万が先制トライ。23分には関東ゴール前のスクラムを押し込み、相手No.8が持ち出したボールを奪うやルーキーSO山中亮平がインゴールへ。後半は11分と15分、ともにスクラムを押し込んでからボールを受けたFB五郎丸歩が余裕の連続フィニッシュ。33分にはとうとうペナルティトライまで……5トライすべてが、スクラムの猛プッシュを起点に記録されたのである。

 「今年の強味はHOの臼井(陽亮=4年)が左右に組み分けられることです」

 権丈太郎主将のケガでゲームキャプテンを務めたPR畠山健介は明かす。「左右のどっちが前に出るか、サインに応じて組み方を変える器用さがあるんです」。

 さらに3年の左PR瀧澤直の証言。

 「臼井さんは去年の4年生よりも(畠山)健介さんへの要求が厳しいんですよ」

 昨季の早稲田FWでは、新人時代から赤黒ジャージーを着て経験を積んでいた権丈や畠山ら3年生に対し、新レギュラーの4年生から微妙な遠慮も感じられた。だが同学年同士はそもそも同格、遠慮なく要求しあえる……切磋琢磨の末、春の集大成となった三ツ沢の一戦では、畠山のほかHO臼井、LO寺廻健太、FL有田幸平と覺來弦の4年生が先発。権丈主将が欠場してもFWに5人の最上級生が並び、赤黒軍団を圧勝に導いたのだ。

 有田は啓光学園の花園制覇、寺廻は高校日本代表豪州遠征の全勝を、それぞれ主将として達成した。高校代表歴のない臼井と覺來もオール神奈川に選ばれたキャリア組だが、昨季までは、度重なるケガが彼らの出番を遠ざけていた。

 「でも、みんな今年はケガが治ったからすんなり試合に出てるんじゃない。練習で一番激しいプレーをしてるからなんです」。畠山はそう言うと「みんな去年負けた悔しさを噛みしめてますから」。

 赤黒FWのリベンジ物語が始まった。

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