「何度も同じ質問が重なって申し訳ないけど、身長と体重は……」
10月4日の熊谷ラグビー場。初先発した成蹊大戦の後で、今季何度目かの同じ質問を受けた紫紺の背番号9は、遠慮がちに尋ねた記者に屈託ない笑顔で答えた。
「152cm、52kgです」
100kg超の巨漢に猛タックル。152cm、52kgの「猛獣」。
2009年秋。ラグビー担当記者の間で、注目度も好感度も赤丸急上昇中のイチオシ選手が明大SH秦一平である。福岡・筑紫高出身の2年生。身体は確かにミニマム級。人当たりの柔らかさも冒頭の場面通りカシミア並み。だがプレーを一度見たら、痛いほどハートを掴まれてしまう。190cm、100kg級の巨漢FWが向かってきても臆せず猛タックル。対抗戦の開幕前、チームを勢いに乗せた夏合宿の帝京大戦では核弾頭のNO8野口主将、FLツイの突進に頭から突き刺さり、公式戦初先発を果たした成蹊大戦では、自陣ゴール前で相手LO永井のトライを阻止する猛タックル。さらさらヘアーのルックスからは想像できない猛獣的プレーを見せたかと思うと、ボールを持てば軽快なパス捌きでチームにリズムとテンポをもたらす。攻守両面で観戦者を酔わせてしまう危険なプレーヤーだ。
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photograph by Shinsuke Ida