10月6日、広島市民球場。佐々岡真司が9回2死から本拠地最後のマウンドに立った。相手は横浜の4番、村田修一。1−3からのストレートを、村田はレフトスタンドに叩き込んだ。それは、花道を飾ろうとする男に対して、武士の情けにもとる行為ともいえた。試合後、本人は唇を噛んでこう言った。
「打って辛いホームランは今日が初めてです」
ただ、結果的にこの「辛い」36号がヤクルト・ガイエルとの競り合いに決着をつけることになった。昨季は日本人選手のなかで本塁打、打点トップ。そして今季、ついに本塁打王を獲得したのである。いまや数少ない正真正銘の日本人大砲になった。この意味は実は大きい。
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photograph by Hideki Sugiyama