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メッツが手放した逸材、カズミアの輝ける未来。

2009/03/08

 最速96マイルのファストボールと切れ味鋭いスライダーが、ビシビシと決まる。スコット・カズミアは6回までに、リーグ最強といわれるレッドソックス打線を3安打無失点に抑え、しかも9三振を奪ってマウンドを降りた。

 「なんか現実感がないよ。相手がペドロ(マルチネス)で、満員のフェンウェイパーク。打席に立つのはオールスターに出てくる打者ばかり。そんな相手に勝っちゃったんだから」 と、メジャー5試合目で2勝目をマークした20歳のルーキーは、私服に着替えたあとも声を上ずらせながらその喜びを語った。

 2年前、ドラフト1巡目でメッツに指名されたときから大器と騒がれていた逸材である。実際、メッツは将来のエース候補として大事に育てるつもりで、大物の交換トレードの相手に指名されても断り続けてきた。ところが7月のトレード期限ギリギリでその方針を大転換させたのだ。予想外の善戦で首位争いに加わっていたメッツは、先発投手陣を充実させるため、デビルレイズのビクター・ザンブラーノとのトレードを成立させたのである。

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photograph by Yukihito Taguchi

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