「ほう、サッカーで飯が食えるようになりましたか」
'93年にJリーグが開幕して間もないころ、ある大先輩のジャーナリストに挨拶にいったところ、差し出した名刺を見てしみじみと言われた。サッカーの取材用に新しく作ったその名刺に、私は気恥ずかしさを決意の強さで隠しながらフットボールアナリストの肩書きを記していた。
サッカーでまだ飯が食えなかった時代、純粋なフリーランスなどほとんど存在せず、サポーターとフリーライターの境界がいまだ未分化だった時代に、フリーランスの草分けのひとりとして活動していたのが富樫洋一さんだった。原稿料など微々たるもの。1年を数十万円で暮らし、確定申告の際に税務署から、「この収入でよくやっていけますね」と言われながら。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています