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「We are REDS!」の大合唱が響く中…「町田の強さ」「献身性の賜物」主将・昌子源が讃えた同点ゴールはなぜ生まれたのか

2024/09/11
浦和戦の90+8分、藤本の折り返しに鋭く飛び込んで値千金の同点ゴールを決めたエリキ
 速報記事やSNSのポストがWeb上に溢れる中、試合を取材して書く「マッチレビュー」にはどんな可能性が残されているのか。長年日本サッカーを第一線で取材している編集部・松本宣昭が、そんな自問自答をしながら綴っていく連載コラム「最後尾からのマッチレビュー」。 速さを捨てた、切り口勝負の企画、NumberPREMIERで月に1回程度掲載予定です。お楽しみ下さい。

 試合直後のスタジアム最寄り駅は、混む。激混みだ。東京のど真ん中にあって、付近に複数の路線が走る国立競技場でも、それは同じ。JR中央・総武線の千駄ケ谷駅も、都営大江戸線の国立競技場駅も、東京メトロ銀座線の外苑前駅も。タイムアップ直後のホームは、人でごった返す。だから、試合終了の笛を待たずに席を立ち、混雑する前に駅へ向かうファン・サポーターがいるのも自然なこと。応援するチームが敗戦目前の状況ならば、なおさらだ。

 8月31日、国立競技場で行われたJ1リーグ第29節・町田ゼルビア―浦和レッズ戦でもそんな光景が見られた。後半アディショナルタイムの目安は7分。そのうち3分が経過したところで、1点をリードする浦和がゴールネットを揺らした。自陣でのCKの流れからカウンターを繰り出し、松尾佑介が快足を飛ばして相手GKまで抜き去り、左足で流し込んだ。

 この場面を見て、国立競技場4階・記者席横の客席に座っていた男性が立ち上がった。浦和サポーターによる「We are REDS!」の大合唱が響く中、町田のレプリカシャツを着たその人は、うつむき加減で出口へ続く通路に消えた。台風10号のせいで、ついさっきまで土砂降りだった雨は、ちょうどやんでいた。混雑を避けて、傘も使わず駅へ向かうには絶好のタイミングだった。

″幻のゴール″直後に昌子源が思ったこと。

 ところが、ゴールは認められなかった。松尾がシュートを放つ直前、横を走っていた二田理央が、町田の下田北斗を引っ張り倒したとしてファウルの判定が下された。ボールがセンターサークルに戻されることはなく、ペナルティエリア内からのFKで試合は再開された。

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photograph by KYODO

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